Aタイプラミン遺伝子の変異により、ヒトではエメリ・ドレフュス型や肢帯型などの筋ジストロフィーと呼ばれる遺伝病が発症する。しかし、その機構はまったくわかっていない。昨年度の研究からショウジョウバエでAタイプラミンをノックアウトすると健細胞の構造安定化に必要であるSpectraplakinと呼ばれる細胞骨格に属するShortstopタンパク質の構造は異常になるが、核内の骨格であるAタイプラミンと細胞骨格を繋ぐ従来の既知のLINC複合体はShortstopと相互作用していないことを遺伝学的および細胞化学的に明らかにしてきた。本年度はShortstop組換え遺伝子を用い、野生型および変異型Shortstopの細胞内での重合動態を詳細に解析した。野生型Shortstopの発現を誘導して経過時間的に動態を解析した結果、shortstopは発現の初期に核膜周辺に出現した後に細胞質へ重合していくことがわかった。さらに欠失型のShortstop変異体シリーズを用い同様に解析したところ、Rod領域を欠失したShortstopは核膜周辺への局在がみられず、Rod領域が核膜との相互作用に重要であることを明らかにした。現在Rodのどの領域が必要であるかを明らかにするため解析中である。
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