研究課題
基盤研究(C)
平成25年度は以下の点を中心に解析し結果を得た。細胞外環境グルコースを感知するGタンパク質共役受容体Git3とその下流で活性化する3量体Gタンパク質αサブユニットGpa2、Gpa2により活性化されるアデニル酸シクラーゼCyr1、活性化Cyr1が産生するcAMPにより活性化されるcAMP依存的タンパク質キナーゼ(PKA)触媒サブユニットPka1は、グルコースに応答したRyh1活性化を担う分子機構である可能性が十分に考えられる。そこで始めに、これら因子の遺伝子破壊分裂酵母株においてTORキナーゼ複合体TORC2によるGad8キナーゼリン酸化の程度を検討した。これら因子がRyh1活性に影響を与えている場合はTORC2活性にも影響が及び、ひいてはGad8リン酸化の程度に影響を及ぼすことが予想される。これら因子の遺伝子破壊株を分裂酵母の標準的な完全培地であるYES培地(3%グルコースを含む)で培養したところ、グルコースにより活性化したPKA依存的にRyh1の活性化が引き起こされるという当初の予想に全く反し、Gad8リン酸化レベルの低下は全く認められなかった。また、分裂酵母細胞をYES培地で対数増殖期まで培養した後グルコースを全く含まないYES培地に急速に移すと、野生型では5分以内にGad8リン酸化レベルの著しい低下が認められるが、これら因子の遺伝子破壊株ではGad8リン酸化レベルの低下は20分以上経過した後初めて認められた。
2: おおむね順調に進展している
当該研究課題で平成25年度より27年度までの3年間に取り組むことを提案した3つの題目のうちの1つ「Gタンパク質共役受容体依存的なグルコース応答による Ryh1 活性制御」について初年度のうちに一定の結論が得られた。よって、当該研究課題は現在のところ概ね順調に進展している。
今年度以降はRyh1低分子量Gタンパク質の直接の制御因子と考えられるGEF、GAPについて、その同定および制御機構解析を進める。また、遺伝学的手法を用いたRyh1の新規制御因子の探索も併せて行う予定である。
年度初頭の研究計画から予定を若干変更し、当該研究課題で取り組みを予定していた3つの題目のうち比較的費用のかからない題目に最も集中的に取り組んだ。そのため当初は初年度に計上していた放射性同位体の費用や一部消耗品の費用が発生しなかった。今年度は、放射性同位体を使用する等費用の負担がより大きな題目に取り組み、次年度使用額分を全て使用することを予定している。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
ACS Med Chem Lett
巻: 4 ページ: 752-756
10.1021/ml4001535