研究課題/領域番号 |
25440086
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
建部 恒 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (00596819)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | TOR / グルコース / 分裂酵母 / Rab低分子量Gタンパク質 |
研究実績の概要 |
平成26年度は以下の点を中心に解析し結果を得た。 我々は分裂酵母において、Rab低分子量Gタンパク質Ryh1(ヒトRab6相同タンパク質)がTORキナーゼ複合体TORC2を活性化することを以前に報告している(Tatebe et al., 2010)。またこれまでに予備的な結果として、培地中のグルコースを除去するとRyh1活性が急速に低下することを見出していた。さらにまた、TORC2によりリン酸化を受けるGad8のリン酸化状態を指標に検討したところ、ryh1遺伝子機能欠損変異体やryh1恒常活性型変異体ではTORC2活性がグルコースに応答しないことを見出していた。以上の結果から、分裂酵母では細胞外環境のグルコースに応答したRyh1の活性化・不活性化を通じてTORC2活性が制御されていることが明らかとなってきていた。 そこで、当該年度はRyh1によるTORC2活性化におけるグルコースの影響をさらに検討した。その結果、当初より存在を予期していたRyh1に依存的な機構に加えて新たに、Ryh1に依存しない未知の分子機構によっても細胞外環境のグルコースに応答した制御をTORC2が受けるという予想外の事実が判明してきた。これら結果を詳細に解析しCell Cycle誌(Taylor & Francis)に発表した(Hatano et al., 2015, DOI:10.1080/15384101.2014.1000215)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究課題で平成25年度より27年度までの3年間に取り組む事を提案した3つの題目のうちの1つ「Gタンパク質共役受容体依存的なグルコース応答による Ryh1 活性制御」について取り組む中で、当初予期しなかった新奇分子制御機構の存在をも明らかにし、それらの結果を含めてCell Cycle誌(Taylor & Francis)に発表した。よって、当該研究課題は現在のところ概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はRyh1低分子量Gタンパク質の直接の制御因子と考えられるGEF(グアニンヌクレオチド交換因子)、GAP(GTPase活性化タンパク質)について、そのグルコースに応答した制御機構の解析を進める。また、遺伝学的手法によりRyh1の新奇制御因子の同定を行うと共に、前年度までの研究で明らかとなってきたRyh1に非依存的な新奇TORC2制御機構の実態に迫る。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度初頭の研究計画から予定を若干変更し、当該研究課題で取り組みを予定していた題目のうち比較的費用のかからない題目に集中的に取り組んだ。そのため当初は計上していた放射線同位体や一部消耗品の費用が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、放射性同位体を使用する解析等、試薬、消耗品の費用負担がより大きな題目に取り組み、次年度使用額として計上分を全て使用する事を予定している。
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