研究課題/領域番号 |
25440087
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
木村 義雄 香川大学, 農学部, 教授 (10243750)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 真核生物様キナーゼ / 粘液細菌 / 低分子Tyrホスファターゼ / ヒ酸レダクターゼ / 細菌型Tyrキナーゼ |
研究概要 |
1.真核生物様キナーゼの酵素学的諸性質の検討 粘液細菌Myxococcus xanthusが有する真核生物様キナーゼのうち、Ser/Thrキナーゼ型のVIb配列を有しないものを選択し、大腸菌で発現させた酵素を用いて、自己リン酸化反応後、抗リン酸化Tyr抗体を用いたWestern blottingを行った結果、3種のキナーゼが検出された。このうちDspAについて、金属塩、ATP、基質に対するKm値測定、キナーゼ阻害剤の影響などの諸性質を明らかにした。このdual specificity kinaseのVIb配列をSer/Thrキナーゼ及びTyrキナーゼが有する特異的な配列にアミノ酸置換した変異酵素を作製した結果、全てにおいてキナーゼ活性の消失が見られた。さらに、activation loopにおける自己リン酸化アミノ酸及び自己リン酸化Tyr残基の特定を行い、それらの変異酵素ではキナーゼ活性が減少あるいは消失したことから、自己リン酸化及びホスファターゼによるリン酸化アミノ酸残基の脱リン酸化によって本酵素は活性調節されることが明らかになった。 2. 低分子Tyrプロテインホスファターゼの酵素学的諸性質の検討 本菌は、低分子Tyrプロテインホスファターゼ(LMWTPP)と相同性の高い酵素(ArsA)を1つ有している。本酵素を大腸菌で発現させ、酵素学的諸性質の検討を行った結果、本酵素は弱いホスファターゼ活性を有するものの、Tyr残基リン酸化タンパク質の脱リン酸化活性を有せず、強いヒ酸レダクターゼ活性を有していたことから、本酵素はLMWTPPとしては機能せず、ヒ酸から亜ヒ酸に触媒する酵素であることが明らかになった。 3. 細菌型Tyrキナーゼの酵素学的諸性質の検討 本菌は2種類の細菌型Tyrキナーゼを有しており、既に本菌における機能解析は終えている。現在、本酵素の自己リン酸化を活性化する領域、キナーゼ活性に必要なアミノ酸などの特定を行い、論文を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究目標に対して、順調に実験結果が得られており、その結果を2報の論文にて報告した。また、次年度の目標に関しても、結果が得られており、現在、関連した論文を数報作成中で順調に研究は進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.真核生物様キナーゼの酵素学的諸性質の検討 粘液細菌Myxococcus xanthusが有する真核生物様キナーゼについては引き続き実験を行い、Tyr残基に自己リン酸がみられ、キナーゼ活性の強い酵素においては、酵素の諸性質を明らかにするとともに、アミノ酸置換をした変異酵素を作製し、キナーゼ活性に必要なアミノ酸の特定を行う。 2. 細菌型Tyrキナーゼの機能解析 細菌型Tyrキナーゼが細胞内で基質とするタンパク質の同定をWestern blottingやアミノ酸シークエンス法などを用いて試み、同定された酵素のリン酸化の確認及びリン酸化による活性変化などを測定することなどで本酵素が関与する情報伝達系の全体像を明らかにする。 3. 真核生物様ホスファターゼの酵素学的諸性質の検討 本菌が有する真核生物様ホスファターゼのうち、2種類を用いて酵素学的諸性質の検討と変異株を用いた細胞内での機能解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度予算及び前倒し支払いを請求し、必要な物品を購入したが、次年度の使用予算額が少なくなり、若干、余剰が生じたので次年度に繰り越しして使用することとした。 試薬の購入にあてる。
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