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2015 年度 実績報告書

粘液細菌におけるチロシン残基のリン酸化を介した情報伝達機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25440087
研究機関香川大学

研究代表者

木村 義雄  香川大学, 農学部, 教授 (10243750)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードプロテインキナーゼ
研究実績の概要

粘液細菌Myxococcus xanthusは100程度の真核生物様プロテインキナーゼを有する。セリン/スレオニンキナーゼ及びチロシンキナーゼは、12のサブドメインを有し、そのうちVIbドメインにあるcatalytic loopにRDxKxxN及びRDx(A/R)A(A/R)N配列をそれぞれ有しているが、本菌の真核生物様キナーゼの半分程度は、それらとは異なる配列を有している。我々は前年度に14個の典型的なcatalytic loopを有しないキナーゼを大腸菌で発現させ、酵素活性を測定したところ、2つ(DspA, DspB)を除いて低い活性しか示さなかったことから、典型的なcatalytic loopを有しないキナーゼの大半は低いキナーゼ活性しか有していないと推定した。活性の高かった2つのキナーゼは塩基性ミエリン(MBP)のセリン/スレオニン残基をリン酸化し、自己リン酸化においてチロシン残基のリン酸化を示すdual specificity kinaseであった。
高いキナーゼ活性を有するDspBは、catalytic loopにRDVAQKN配列を有し、これをセリン/スレオニンキナーゼ型に置換した変異酵素 (A165K)では、MBPに対するキナーゼ活性が1.3倍増加した。本酵素はRDキナーゼで activation loopにセリンとスレオニン残基をそれぞれ1つ有しており、それらのアミノ酸をアラニンに置換した変異酵素ではキナーゼ活性に変化は見られなかった。RDキナーゼはactivation loopのアミノ酸がリン酸化されることで酵素活性が活性化されるが、本酵素はそのような機構を有しないと考えられた。
一方、本酵素はチロシン残基を自己リン酸化するため、5つのチロシン残基(Y25, Y102, Y145, Y173, Y205)をフェニルアラニンに置換した変異酵素を作製したところ、Y145F変異酵素はキナーゼ活性を大幅に減少させたことから、Y145の自己リン酸化が本酵素の活性化に必要であることが明らかになり、本菌が有するチロシンホスファターゼによって活性調節を受けている可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Characterization of a eukaryotic-like protein kinase, DspB, with an atypical catalytic loop motif from Myxococcus xanthus.2016

    • 著者名/発表者名
      Kimura Y., and Urata M.
    • 雑誌名

      Arch. Microbiol.

      巻: 198 ページ: 219-226

    • DOI

      10.1007/s00203-015-1181-5.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Enzymatic characterization of a class II lysyl-tRNA synthetase, LysS, from Myxococcus xanthus.2015

    • 著者名/発表者名
      Oka M., Takegawa K., and Kimura Y.
    • 雑誌名

      Arch. Biochem. Biophys.

      巻: 579 ページ: 33-39

    • DOI

      10.1016/j.abb.2015.05.014.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Myxococcus xanthusにおけるアミノアシルtRNA合成酵素によりAp4Aの合成について2015

    • 著者名/発表者名
      田中千尋、佐々木雅史、木村義雄
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-12-02
  • [学会発表] Myxococcus xanthusにおけるAp4A分解酵素としてのNudix hydrolaseについて2015

    • 著者名/発表者名
      坂井亜衣、木村義雄
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-12-02
  • [学会発表] Myxococcus xanthusにおけるlysyl-tRNA合成酵素の酵素学的諸性質の酵素学的諸性質の研究2015

    • 著者名/発表者名
      岡茉奈美、木村義雄
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-12-02
  • [学会発表] 粘液細菌が有する非典型catalytic loop配列を有する真核生物様プロテインキナーゼの酵素学的諸性質について2015

    • 著者名/発表者名
      木村義雄
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-12-01
  • [学会発表] Myxococcus xanthusにおけるApnA分解酵素の役割について2015

    • 著者名/発表者名
      佐々木雅史、田中千尋、木村義雄
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-12-01

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公開日: 2017-01-06  

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