研究課題/領域番号 |
25440088
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大寺 秀典 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40380612)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミトコンドリア形態 / 膜分裂 / 高分子量GTPase |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアは融合と分裂によりダイナミックにその形態を変換し、細胞内の必用な場所に適切に配置されエネルギー産生の他、アポトーシス等を通して真核細胞の生と死を調節するオルガネラである。MffとMiDタンパク質はいずれもDrp1のリクルートに働くがその相互関係は不明である。CRISPR/CAS9システムを用いたゲノム編集によりMff、MiD49、MiD51のノックアウト細胞を作製した。その結果、これらの因子はDrp1リクルートにたいして個々に独立して機能することを明らかにした。さらにMffとは異なり、MiD49とMiD51はアポトーシス執行に極めて重要であった。。MiD49およびMiD51によるDrp1に依存したミトコンドリア分裂はミトコンドリアクリステ構造の再編に必須であり、シトクロムCのミトコンドリア外への放出に関わることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリア分裂に関わる代表的な因子全てのノックアウト(HeLa)細胞を作製することが出来た。これにより同じ細胞種でのミトコンドリア分裂機構を統一的に解析することが可能となった。哺乳動物細胞に備わる3つのDrp1膜受容体がそれぞれ独立して機能することを明らかにした。ミトコンドリア分裂実行因子Drp1のリクルートに働く3種の膜受容体のなかで、MiD49とMiD51はアポトーシス経路での細胞死の執行に重要であるとの新規知見を得ることができた。さらにMiD49とMiD51によるミトコンドリア分裂はアポトーシス誘導時におけるミトコンドリア内膜構造の再編に重要であり、MiD49およびMiD51におノックアウト細胞ではこの再編が阻害されるため、ミトコンドリア内からのシトクロムC放出が障害を受けることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度はこれまでの研究成果を元に論文としてまとめるに必要な周辺データの整理を実施する。具体的には、これまで得た結果を統計的に解析するため複数回の再現実験を行う。またミトコンドリア分裂とミトコンドリアクリステ構造変化を形態学的に示すための電子顕微鏡解析を実施して生化学的方法により得られた知見を視覚的に示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
大方、必要な物品を購入したあとであり残額もわずかであったため次年度へ繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し額はわずかであるため次年度の助成金と合算して物品費として使用する。
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