分裂実行因子DRP1(GTPase)は、自己会合によってリング状に膜に巻き付いてミトコンドリアを切断します。DRP1の切断面へのリクルートに必要な膜レセプターとしては、申請者らがその機能を同定したMffのほか、MiD49、MiD51が知られていますが、「DRP1膜レセプターが3種存在する生理的意義」は理解されていません CRISPR法によりDRP1レセプターノックアウト(KO)細胞を作製解析して、MffとMiD49/51(MiDシステム)は互いに独立した分裂システムを構成することを証明しました。 アポトーシス誘導時、MiD49 KOとMiD51 KO細胞ではチトクロムCの放出が顕著に阻害されていました。MiD49/51二重欠損(DKO)細胞ではほぼ完全にチトクロムCの放出は阻害されました。一方、Mff KO細胞ではこのような阻害は認められません。MiD49/51 DKO細胞では、(1)Smac/DIABLOなど、その他の膜間スペース因子は正常に放出されること、(2)アポトーシス誘導時に通常見られる膨潤を伴うクリステ再編が起きないこと、(3)DRP1リクルート活性を失ったMiD51変異体は相補活性を持たないことを明らかにしました。以上の結果から、MiDシステムによるDRP1のリクルートがアポトーシスにおけるクリステ開放を伴う内膜構造の再編に重要であることを明らかにしました。
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