研究概要 |
まず,YIPF1, YIPF2, YIPF6を特異的に認識する抗体を作成し免疫蛍光染色でその局在を解析した。いずれの抗体によっても典型的なゴルジ体染色像を得た。ゴルジ体のシスからトランスにかけてのマーカータンパク質と共染色して,それぞれの分布を詳細に解析したところ,YIPF1, YIPF2, YIPF6はシスゴルジには少なく,メディアルゴルジ以降に多く分布していることが明らかとなった。また,YIPF6はゴルジ体のメディアル部位からTGNにかけて広く分布していたが,YIPF1とYIPF2はトランスゴルジからTGNにかけてより多く分布していた。YIPF1及びYIPF2はさらにエンドソーム用の細胞質顆粒状構造にも局在していた。以上のことから,YIPF1, YIPF2, YIPF6は主としてトランスゴルジ局在することが明らかとなった。つぎに,YIPFタンパク質群の間で最も保存性の高いアミノ酸残基(N末端細質領域のR/K,第1膜貫通部位の細胞質側境界のD,第3膜貫通部位のGY)に注目して,これらの残基をAに変異させて細胞に導入し,その効果を解析した。低レベル発現細胞で変異体の局在を観察したところ,野生型との大きな違いは観察されなかった。特にR/K->Aの変異体はほとんど野生型と同じ局在を示した。また,野生型のYIPF1, YIPF2, YIPF6と同様に変異体の過剰発現によってゴルジ体の分散が観察された。一方,D->A, GY->AAの変異体は小胞体に蓄積する傾向を示した。また,YIPF2の野生型は中程度の発現レベルでエンドソーム用の構造に蓄積したが,YIPF2のD->A及びGY->AAの変異体はエンドソーム用の構造への蓄積を示さなかった。したがって,第1膜貫通部位の細胞質側境界のD,第3膜貫通部位のGYがYIPFの局在に重要な役割を担っていることが示唆された。
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