研究実績の概要 |
[全体を通して] 本研究は、主要タンパク質分解系のひとつである26Sプロテアソームの細胞内局在を支える分子基盤とその制御機構に関して知見を深めることを目的としている。具体的には、モデル生物として分裂酵母を使用し、分裂酵母におけるプロテアソーム局在の主要制御因子であるCut8タンパク質に注目して、主に次の2点、(1) Cut8と物理的相互作用するタンパク質、(2) Cut8の機能を制御する可能性のあるリン酸化シグナル伝達ネットワーク、に関して研究をおこなった。 (1) Cut8と物理的相互作用するタンパク質:酵母Two-hybrid法で同定されたCut8結合タンパク質Ceb (cut eight binding)について解析をおこなった。そのうちのひとつ、Ceb1は真核生物で保存された、核に局在すると予想されるタンパク質であったため、これに注目して機能的な解析をおこなった。 (2) Cut8の機能を制御する可能性のあるリン酸化シグナルネットワークの解析:これまでに、cut8変異体と分裂酵母Cek1キナーゼ(高等動物のGreatwall kinase;gwlに類似)が遺伝学的に相互作用することが報告されているため、このキナーゼに着目して研究を進めた。分裂酵母には、3つのgwl類似キナーゼCek1, Ppk18, Ppk31が存在する。これらの機能解析をおこない、Cek1とPpk18が機能的にgwlキナーゼに相当することを示唆する結果を得た。Cek1やPpk18の基質タンパク質であるα-EndosulfineホモログであるMug134についても、Cut8との機能的関連に着目して解析をおこなった。 [最終年度に関して]上記のうち、進捗が良かった(2)の結果をまとめるために必要な実験を主におこない、投稿した。
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