研究課題/領域番号 |
25440097
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
水野 武 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (30281629)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 核内品質管理 / DNAポリメラーゼα / HSP90 / novobiocin / CHIP / タンパク質分解 / プロテアソーム / 細胞核 |
研究概要 |
哺乳類細胞のゲノムの恒常性維持機構の解明を目指し、マウス温度感受性変異体細胞(tsFT20)由来のDNAポリメラーゼαの制限温度下で生じる核内動態を徹底的に解析し、その結果、「核内の複製関連因子の品質は厳格に管理されており、核内への移行阻害と既に核内に存在しているタンパク質の核内での分解という二つの異なるメカニズムにより異常タンパク質を核内から排除する機構が存在する」という核内因子の品質管理機構という概念を提唱した(J. Biol. Chem. 2009)。この核内タンパク質品質管理機構の分子メカニズムのさらなる解明を目指し、NIH3T3細胞へtsFT20由来の変異を持つポリメラーゼα触媒サブユニットp180を一過性過剰発現させ、制限温度にシフトアップする際に種々の阻害剤を加え,分解を阻害する物質を探索した。その結果、HSP90のC末領域のATPaseの阻害剤であるnovobiocinがp180の核内分解を抑制することを見出した。さらにnovobiocin存在下で,核内の内在性HSP90とプロテアソーム活性化因子PA28 gammaが核小体に共局在することを見出した。従って,核内では構造異常を来たしたタンパク質はHSP90によって認識され、refoldされた後、核内プロテアソームへ引き渡され,分解されるのではないかと考えられた。siRNAによるknock down実験により分解系に働く因子を検証している.さらに核小体ストレスに応じた核内分解系の影響に関してポリメラーゼαをモデルとして解析している.光刺激型GFPの融合タンパク質を利用した、哺乳類細胞の核内には小胞体、細胞質,ミトコンドリア等とは異なるタンパク質の認識・分解系が存在すると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
核内分解系に働く因子の絞り込みに成功し、未発表データをここまでで、論文投稿するべきステージに来ているが、まだ投稿に至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
生細胞観察の実験系が確立していない事から、光刺激型変異体の構築を急ぐ.siRNAによる確認実験は順調に動いている事から、PA28gammaの関与とHSP90の関与を証明する.異なる阻害剤の効果によっても確認がとれているので、現状で一度まとめて投稿してみる.
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次年度の研究費の使用計画 |
国際学会への参加を想定していたが、研究の進展がとどこおったため、学会発表を見合わせ、旅費の残額が生じた. 核内分解の試験管内再構成系を確立する為の消耗品の購入に充てる.
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