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2014 年度 実施状況報告書

mRNA輸送・翻訳制御粒子の形成・解体メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 25440099
研究機関大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設)

研究代表者

椎名 伸之  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 准教授 (30332175)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードRNA granule / 翻訳制御 / ストレス / NFAR2/NF110 / NF45 / PKR
研究実績の概要

RNA granuleは、mRNAの輸送、安定性、翻訳等を制御する高次複合体である。今年度は、RNA granuleの形成・解体が、NFAR2/NF110及びNF45によって制御されるメカニズムを明らかにした。NFAR2はGQSYドメイン及びDZFドメインをもつ。このうちGQSYドメインは、他のRNA granule構成因子RNG105や積み荷mRNAと結合し、複合体を形成した。一方、DZFドメインはRNG105やmRNAとは結合しないが、RNA granule形成を正にも負にも制御した。DZFドメインは、RNA granule形成のマスター制御因子PKRによるリン酸化部位をもち、この部位がリン酸化されることによってNFAR2が核内から細胞質へ移行し、それに伴って細胞質でのRNA granule形成が促進された(正の制御)。これとは逆に、DZFドメインにNF45が直接結合すると、NFAR2が細胞質に局在してもRNA granule形成は抑制された(負の制御)。これらDZFドメインの正・負の制御の際に、GQSYドメインとRNG105やmRNAとの結合は影響を受けなかった。以上の結果から、NFAR2はGQSYドメイン及びDZFドメインの多価のドメインを用いてRNA granule構成因子のコネクターとして機能し、このうちDZFドメインの活性が正・負に制御されることによってRNA granuleの形成・解体が調節されるというメカニズムが示唆された。
今年度はさらに、RNA granule形成・解体の機能的意義を検討した。細胞はストレス下でRNA granuleを形成し、細胞死を防御する。NF45過剰発現細胞ではストレス下においてもRNA granule形成が低下し、細胞死が増加した。この結果は、RNA granuleの形成制御が、ストレス防御に重要な役割を果たすことを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、研究目的および計画のうち、1.NF45, NFAR2/NF110によるRNA granule形成・解体制御機構の解明、2.細胞におけるRNA granule形成・解体の機能的意義の2項目について解析を進め、新たな知見を得た。今年度および昨年度の成果を合わせてJ. Biol. Chem.に論文として発表した。以上の点から、本研究は当初の研究計画通り順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

RNA granuleの形成・解体制御は、神経細胞ではシナプス調節を介した長期記憶や神経変性疾患に関与すると考えられる。今後、神経細胞でNFAR2/NF110やNF45を発現し、RNA granuleの形成を促進あるいは抑制した際に、どのような影響を及ぼすかについて解析を進める。
また、RNA granuleの解体を促進する因子として、これまでにメチル化酵素PRMT1も同定している。研究目的および計画に従って、PRMT1によるRNA granule構成因子のメチル化がRNA granuleの形成・解体にどのような影響を及ぼすかについて解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

今年度はほぼ計画通りの使用額であったが、昨年度使用しなかった額が来年度に持ち越しとなったことが主な理由である。

次年度使用額の使用計画

細胞培養に用いる試薬、プラスチック器具、血清、トランスフェクション試薬を購入する他、遺伝子組み換え実験に用いる試薬を購入する。また、神経初代培養細胞を用いた実験に伴うマウスの飼育および系統維持に関わる施設使用料も必要であり、そのために使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] RNA granule assembly and disassembly modulated by nuclear factor associated with double-stranded RNA 2 and nuclear factor 452014

    • 著者名/発表者名
      Nobuyuki Shiina, Kei Nakayama
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry

      巻: 289 ページ: 21163-21180

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.556365

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 神経樹状突起mRNA輸送・局所的翻訳と記憶形成2014

    • 著者名/発表者名
      椎名伸之
    • 学会等名
      第37回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] 記憶形成に関与するRNG105が神経樹状突起へ輸送するmRNAの網羅的同定2014

    • 著者名/発表者名
      大橋りえ、重信秀治、椎名伸之
    • 学会等名
      第37回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] RNA granule構成因子RNG105は記憶の成立に関与する2014

    • 著者名/発表者名
      中山啓、阿部学、山崎真弥、藤川顕寛、野田昌晴、二木啓、御子柴克彦、崎村建司、椎名伸之
    • 学会等名
      第37回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [備考] 記憶、神経変性疾患、ストレス防御などに関与するRNA粒子の集合・離散の新たな仕組みを解明

    • URL

      www.nibb.ac.jp/pressroom/news/2014/07/01.html

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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