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2015 年度 実績報告書

mRNA輸送・翻訳制御粒子の形成・解体メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 25440099
研究機関大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設)

研究代表者

椎名 伸之  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 准教授 (30332175)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードRNA granule / 翻訳制御 / メチル化 / RNG105 / PRMT1
研究実績の概要

RNA granuleの形成・解体は翻訳の抑制・活性化とリンクしており、また、過剰な集合は神経変性疾患などの原因にもなる。このことから、RNA granuleの形成・解体の分子機構解明は近年の重要課題となっている。
平成27年度は、アルギニンメチル化酵素PRMT1によるRNA granuleの形成・解体制御について解析を行った。PRMT1は、RG-richドメインのアルギニン残基をメチル化することが知られている。我々はまず、RNA granule形成因子RNG105のRG-richドメインがPRMT1と結合し、メチル化されることを明らかにした。さらに、培養細胞を用いた蛍光イメージングにより、RNG105-GFPによって形成されたRNA granuleが、PRMT1の共発現によって離散することを見出した。メチル化酵素活性が低下した改変型PRMT1は、RNG105をメチル化する活性が低下し、それに伴ってRNA granuleを離散させる活性も低下した。また、メチル化阻害剤Adoxで細胞を処理すると、経時的にRNG105-GFPのメチル化が低下し、それに伴ってRNA granule形成が増加した。以上の結果から、PRMT1によるRNG105のメチル化が、RNA granuleを離散させることが示唆された。
さらに、全mRNAの細胞内局在および全タンパク質の翻訳量の定量を行った。その結果、RNG105-GFPの発現によってRNA granuleに取り込まれて翻訳が抑制されていたmRNAが、PRMT1の共発現によって細胞質へ放出され、翻訳が活性化することを見出した。以上の結果をまとめると、PRMT1によるメチル化によってRNG105のRNA granule形成能が低下、RNA granuleは離散し、mRNAが放出されて翻訳が活性化するというモデルが考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Comprehensive behavioral analysis of RNG105 (Caprin1) heterozygous mice: Reduced social interaction and attenuated response to novelty.2016

    • 著者名/発表者名
      R. Ohashi, K. Takao, T. Miyakawa and N. Shiina.
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 6 ページ: 20775

    • DOI

      10.1038/srep20775

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Disrupted-in-schizophrenia 1 regulates transport of ITPR1 mRNA for synaptic plasticity.2015

    • 著者名/発表者名
      D. Tsuboi, K. Kuroda, M. Tanaka, T. Namba, Y. Iizuka, S. Taya, T. Shinoda, T. Hikita, S. Muraoka, M. Iizuka, A. Nimura, A. Mizoguchi, N. Shiina, M. Sokabe, H. Okano, K. Mikoshiba and K. Kaibuchi.
    • 雑誌名

      Nat. Neurosci.

      巻: 18 ページ: 698-707

    • DOI

      10.1038/nn.3984

    • 査読あり
  • [学会発表] RNG105ヘテロ欠損マウスの網羅的行動解析―社会的相互作用・新奇対象への興味の低下2015

    • 著者名/発表者名
      大橋りえ、高雄啓三、宮川剛、椎名伸之
    • 学会等名
      第38回分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 神経RNA granuleのダイナミクスと高次脳機能・精神神経疾患2015

    • 著者名/発表者名
      椎名伸之
    • 学会等名
      第38回分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
    • 招待講演
  • [学会発表] 記憶形成に関与するRNG105が神経樹状突起へ輸送するmRNAの網羅的同定2015

    • 著者名/発表者名
      大橋りえ、重信秀治、椎名伸之
    • 学会等名
      第38回神経科学大会
    • 発表場所
      神戸コンベンションセンター(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-07-28 – 2015-07-31
  • [学会発表] RNA granule構成因子RNG105は記憶の成立に関与する2015

    • 著者名/発表者名
      中山啓、阿部学、山崎真弥、藤川顕寛、野田昌晴、二木啓、御子柴克彦、崎村建司、椎名伸之
    • 学会等名
      第38回神経科学大会
    • 発表場所
      神戸コンベンションセンター(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-07-28 – 2015-07-31
  • [学会発表] RNA granuleのダイナミクスと高次脳機能2015

    • 著者名/発表者名
      椎名伸之
    • 学会等名
      第67回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02
  • [備考] 基礎生物学研究所プレスリリース

    • URL

      http://www.nibb.ac.jp/press/2016/02/11.html

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公開日: 2017-01-06  

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