研究課題/領域番号 |
25440103
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
黒田 裕樹 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (70402229)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ツメガエル / トランスジェニック / ラパマイシン / FRB / エレクトロポレーション |
研究概要 |
平成25年度では胚対象エレクトロポレーションの系の確立を主に目指した。元来、ツメガエル胚を用いた遺伝子解析では、胞胚期直後にmRNAを大量発現するのは難しかった。それを解決したのが、胚対象エレクトロポレーション法である。胚の細胞膜と受精膜の間の空間にmRNAを注入し、電気刺激によって胚内にmRNAを注入する方法とも言える。平成25年度では、簡易的な遺伝子導入機器を研究室に導入し(自作)、胞胚期以降の任意の時期にmRNAを発現させる作業を効率よく進めていった。同時にヒートショックプロモーター(hsp)の活用にも取り組んだ。ツメガエル研究で用いられるプロモーターの中でも、バックが最も低く、手軽に用いられるものがhspである。本研究では、いずれはhspの下流にcaMEKとGFPを結合させ、そのDNAを用いてトランスジェニックを行うことになる。それを前提として、GFPの発現によって、トランスジェニックが成立した胚を選択し、当世代において任意の時期でヒートショックを加え、その影響を観察していった。このプラスミドは発現ベクターとしても用いることができるため、単にDNAを注入した胚におけるヒートショック効果も調べていった。さらに、FRB/FKBP/Rapamycinアッセイの活用にも取り組んだ。RapamycinはTORタンパク質のFRBドメインとFKBP12タンパク質に非常に強い結合性を示す薬剤である。この特性を利用して、FRBドメインに目的のタンパク質Aを、FKBPに別のタンパク質Bを結合し、Rapamycinを加えることによって、AとBを人為的に接近させるアッセイが最近の細胞生物学では頻用されている。本研究室では、Rapamycinをツメガエル胚に用いた実験結果を発表しており(2011)、実際にFRB/FKBP/Rapamycinアッセイについても成功することを確認している。平成25年度はERKを活性化させるために、その上流となるRafとMEKを会合させ、ほぼ任意の時期にERK活性を導くことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は申請者が慶應義塾大学に異動して一年目の研究であったため、研究環境の立ち上げに予想以上に時間を要することになったが、幸い、実験自体は理想的に結果を残すことができたため、当初の予定通りの成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
mRNAを用いた解析の推進: エレクトロポレーション法ではほぼ全ての場合においてmRNAを導入することになる。時期はもちろん場所についても予定外胚葉領域、原腸胚期の背/腹中胚葉領域などを対象に導入を行っていく。FRB/FKBP/RapamycinアッセイについてはmRNAを2-4細胞期に顕微注入する予定であるが、MBT前は卵割停止の原因になる可能性もあるので、胞胚期においてエレクトロポレーションを行うことも想定している。 DNAを用いた解析の推進: hsp-caMEKを用いた解析はプロモーターが関わるので全てDNAを用いて行う。当世代での解析は、発現ベクターでもあるDNAをそのまま顕微注入したもの、トランスジェニックしたものの両方で調べる。用いるhspプロモーターはツメガエル胚での致死性が極めて低いことが報告されているので、次世代の作成も目指すことになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた実験における消耗品の価格が変更となってしまったため。 次年度は別の消耗品の価格の上昇が想定されるため、それに充当する。
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