研究課題
基盤研究(C)
今年度の研究実施状況は次の通りである。a) ホヤのOtx遺伝子の転写調節機構:中枢神経系の前方の領域化に関わるOtx遺伝子は、脳胞の系譜で発生を通して連続的に発現する。マボヤ(Hr)とカタユウレイボヤ(Ci)のOtx遺伝子の脳胞細胞系譜でのエンハンサー、その活性に重要な転写因子結合部位、それらが働く発生段階をGFPの mRNAの検出を指標としたレポーターアッセイにより調べた。その結果、2種のホヤの脳胞系譜での転写制御に関わるエンハンサーはそれぞれ複数あり、それらの活性に重要な転写因子結合部位も時期特異的に変化する。変化の仕方は2種のホヤで必ずしも保存されているわけではないことが分かった(業績論文1)。b) マボヤのHox遺伝子:ホヤ綱を構成する二つの目のうち、カタユウレイボヤとは異なる目に属するマボヤでは、Ciと同じ9個のHox遺伝子が、Ciの場合とは異なって一つの染色体上にある。今年度は、8個のHox遺伝子の集まりの両側のBACクローンとHox1を含むBACクローンをプローブとしてFISHを行い、全9個のHox遺伝子の染色体上の並び順をホヤで初めて明らかにした(論文準備中)。この研究に関連して、ギボシムシに関するHox遺伝子クラスターに関する論文報告をした(業績論文2)。c)カタユウレイボヤの消化管形成過程:カタユウレイボヤの消化管は変態期に形成される。消化管の前駆細胞は、幼生の胴部にある内胚葉、尾部にある内胚葉索細胞から幼生尾部にある内胚葉索の細胞を特異的に標識するKaede発現コンストラクトを用いて追跡することにより、内胚葉索の大部分の細胞は腸となること、そしてその過程の概略を明らかにして論文報告した(業績論文3)。
2: おおむね順調に進展している
概ね計画通りに実施できている。研究成果を学会発表だけでなく、論文報告することが出来ている。
基本的には、これまでと同様に計画を遂行していく。
平成25年度の予算を大幅に繰り越すことにした主な理由は次のようである。1)当初の予定にはなかった研究支援者の雇用(平成26年度)を計画した。2)当初予定していた冷却プレートに代わる機器が、研究室の中で別途調達することができた。3)水槽、これまで使用してきた機器に老朽化の兆候が顕在化し始め、次年度以降に予定外の対応を迫られることに備える必要があると考えるに至った。平成26年度の使用計画研究支援者雇用 1,150,000円 、試薬類等物品費 700,000円、 旅費(学会、研究試料調達);200,000円、その他 100,000円、 予備費 824,674円
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
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