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2014 年度 実施状況報告書

ホヤに内在する脊索動物の基本的な発生プログラムの保存性と可塑性

研究課題

研究課題/領域番号 25440113
研究機関首都大学東京

研究代表者

西駕 秀俊  首都大学東京, 理工学研究科, 客員教授 (60131918)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードホヤ / Otx / 転写 / 中枢神経系 / Hox10 / 内胚葉索 / 消化管 / Hoxクラスター
研究実績の概要

今年度の研究実施状況は次の通りである。
a) ホヤのOtx遺伝子の転写調節機構:中枢神経系の前方の領域化に関わるOtx遺伝子は、発生を通して脳胞の系譜で連続的に発現する。マボヤ(Hr)とカタユウレイボヤ(Ci)のOtx遺伝子の脳胞細胞系譜での各発生段階でのエンハンサー、その活性に重要な転写因子結合部位をレポーター遺伝子GFPの mRNAの検出を指標として調べた。その結果、2種のホヤでエンハンサーはそれぞれ複数あること、それらの活性に重要な転写因子結合部位は時期特異的に変化すること、変化の仕方は2種のホヤで異なることを明らかにした(業績論文1,2)。
b) カタユウレイボヤ(Ci)の消化管形成におけるHox10の役割:昨年度までに、Ciの消化管形成の概要、とくに消化管の後半部(腸)が幼生の尾部にある内胚葉索が変態の過程で胴部に移動・集積して形成されることを明らかにしてきた(Nakazawa et al., 2013)。一方、我々は、CiのHox10に対するアンチセンスモルフォリノオリゴ(CiHox10MO)により、幼若体で消化管後半部(腸)が欠失することを観察していた。今回、CiHox10MOにより、内胚葉索の細胞が尾部から胴部への移動が妨げられること、その結果内胚葉索の細胞は尾部とともに壊されて、腸が形成されなくなることを見出した(業績論文3:Kawai et al., 2015 印刷中)。
c) マボヤのHox遺伝子クラスター構造:我々は、ホヤ綱を構成する二つの目のうち、カタユウレイボヤとは異なる目に属するマボヤでは、Ciと同じ9個のHox遺伝子が、Ciの場合とは異なって一つの染色体上にあることを見出してきた。現在、全9個のHox遺伝子の染色体上の並び順をFISHとBACライブラリーを用いた染色体歩行により明らかにしつつある(論文準備中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、一緒に実験をすすめている院生が体調を崩すなどのトラブルが発生し、当初の計画通りには進めることができない部分(論文発表準備中のまま)が生じたため、上記の評価をしている。

今後の研究の推進方策

トラブルは解消することができたので、研究計画に軽微な変更を加え、研究を実施していく。成果とりまとめを行う所存である。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度の予算を繰り越すことにした主な理由は次のようである。1)26年度の研究実施に遅れが出たため、27年度の研究実施に充当したいと考えた。2)水槽等で、これまで使用してきた機器に老朽化の兆候が顕在化し始め、対応する必要を考えた。

次年度使用額の使用計画

使用計画は次の通り:試薬類等物品費  1,648,919円 旅費(学会、研究試料調達) 200,000円 その他 200,000円

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Hox10-regulated endodermal cell migration is essential for development of the ascidian intestine.2015

    • 著者名/発表者名
      Kawai, N., Ogura, Y., Ikuta, T., Saiga, H., Hamada, M., Sakuma, T., Yamamoto, T., Satoh, N. and Sasakura, Y.
    • 雑誌名

      Developmental Biology

      巻: 403 ページ: 43-56

    • DOI

      10.1016/j.ydbio.2015.03.018

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Continuous expression of Otx in the anterior neural lineage is supported by different transcriptional regulatory mechanisms during the development of Halocynthia roretzi.2014

    • 著者名/発表者名
      Oonuma, K., Hirose, D., Takatori, N. and Saiga, H.
    • 雑誌名

      Development, Growth & Differentiation

      巻: 56 ページ: 189-198

    • DOI

      10.1111/dgd.12118

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Analysis of the transcription regulatory mechanism of Otx during the development of the sensory vesicle in Ciona intestinalis.2014

    • 著者名/発表者名
      Oonuma, K., Hirose, D., Takatori, N. and Saiga, H.
    • 雑誌名

      Zoological Science

      巻: 31 ページ: 565-572

    • DOI

      10.2108/zs140060

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 2種のホヤの神経管の発生におけるOtx遺伝子の比較解析 Analysis of the transcription regulatory mechanisms of Otx gene in the developing neural tube of two ascidians.2014

    • 著者名/発表者名
      大沼耕平,高鳥直士,西駕秀俊
    • 学会等名
      日本動物学会第85回大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13
  • [学会発表] Analysis of the transcription regulatory mechanism of Otx gene in the cells to form the neural tube in two ascidian species, Halocynthia roretzi and Ciona intestinalis.2014

    • 著者名/発表者名
      Oonuma, K., Takatori, N. and Saiga, H.
    • 学会等名
      The 47th Annual Meeting of the Japanese Society of Developmental Biologists
    • 発表場所
      Nagoya
    • 年月日
      2014-05-27 – 2014-05-30
  • [備考] 首都大学東京 理工学研究科 生命科学専攻 発生生物学研究室

    • URL

      http://www.biol.se.tmu.ac.jp/labo.asp?ID=devpro

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公開日: 2016-05-27  

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