研究課題
a)カタユウレイボヤの消化管形成におけるHox10の機能:我々は、カタユウレイボヤの発生における消化管形成の概要を明らかにしてきた。すなわちカタユウレイボヤでは、消化管の前半部(食道から胃)と後半部(腸)の形成様式は異なること、腸は、幼生の尾部にある内胚葉索が変態の過程で胴部の左側に移動・集積して形成されることを報告してきた(Nakazawa et al.,Dev. Dyn., 2013)。今年度は、内胚葉索細胞の尾部から胴部への移動にHox10の機能が必須であることを、MOによる機能阻害実験によって示して論文報告を行った(業績論文1:Kawai et al., 2015)。b) マボヤのHox遺伝子クラスターの構造解析:ホヤ綱は2つの目から構成される.我々は、カタユウレイボヤ(Ci)とは異なる目に属するマボヤ(Hr)では,Ciとほぼ同様な全9個のHox遺伝子が,Ciの場合とは異なって1本の染色体上にあることを、BAC library walkingと染色体 FISHによって明らかにしつつある(投稿準備中)。2015年8月に公開されたホヤのデータベースANISEEDでは,マボヤのHox遺伝子は,4つのscaffoldに存在することが分かったが、4つのscaffoldの染色体上の配置までは明らかにならなかった。我々が行ってきたBAC library walkingの結果とデータベースとを比較・検討した結果,マボヤの9個のHox遺伝子が存在する範囲(Hox遺伝子cluster)には,さらに少なくとも7つのscaffoldが含まれることが分かった。そして、マボヤのHox遺伝子clusterの大きさは、2Mb超であると推察された(投稿準備中)。
2: おおむね順調に進展している
研究協力者である院生が体調を崩すトラブルが再度発生し、当初の計画通りに進めることができなかった部分(論文発表準備中)があるが、研究は概ね順調に進んでいる。
研究協力者である院生の体調不良は解消できたわけではないが、それに関わらず、研究遂行に大きな問題が生じない配慮をすることにより、研究計画を遂行して年度内に成果とりまとめを行う所存である。
研究協力者である院生が体調を崩すトラブルが再度発生したこと、研究代表者が当該院生の研究停滞をカバーする時間を十分に確保できず、当初の計画通りには研究を実施・完了できなかった部分が生じた。発表準備中の論文を確実に出版するために、次年度使用を確保した。
研究計画自体に大きな問題はなく、主たる経費として論文完成のための実験に要する物品費、学会への参加発表のための旅費に使用することを予定している。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Developmental Biology
巻: 403 ページ: 43-56
10.1016/j.ydbio.2015.03.018
Developmental Cell
巻: 35 ページ: 333-343
10.1016/j.devcel.2015.10.012
http://www.biol.se.tmu.ac.jp/labo.asp?ID=devpro