研究課題/領域番号 |
25440116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
野呂 知加子 日本大学, 生産工学部, 教授 (80311356)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生幹細胞 / 幹細胞増殖 / タンパク質機能解析 / ヤマトヒメミミズ / 無性生殖 / 細胞分化 / 細胞接着 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
本研究は、砕片分離と再生による無性生殖を行うヤマトヒメミミズEnchytraeus japonensisにおいて、再生初期に再生芽先端付近および中胚葉系列幹細胞に発現する新規遺伝子grimpに着目し、タンパク質レベルでその性質と機能を明らかにすることを目的とする。また、grimpタンパク質と相互作用するタンパク質、およびgrimp遺伝子の影響下にある他の遺伝子との関係を調べ、再生開始機構および再生幹細胞の実態の解明を目指す。これまでに、RNAiによるgrimp遺伝子の発現抑制が再生を阻害することを明らかにしているが、さらに直接的にgrimpの再生における役割を証明するために、タンパク質レベルの機能解析を行う。 平成25年度は、grimp遺伝子をHisタグ付きベクターに組換え、大腸菌にてIPTGによるタンパク質発現誘導と金属カラムによるアフィニティ精製を行った。精製したgrimpタンパク質に対する抗体を作成準備中である。抗体を用いてタンパクの同定(プロセシングの有無)、タンパクレベルの局在(細胞の種類、細胞内局在)を示すと共に、機能阻害実験や免疫共沈降を用いた相互作用タンパク質の同定などを行う。 また、grimp-GFP(N端およびC端)融合ベクターを作成し、従来の哺乳類間葉系幹細胞株に加えてヒト肝臓上皮癌細胞株HepG2に強制発現させ、細胞増殖および細胞分化への影響について検討した。この細胞でも融合タンパクが発現し蛍光を発したが、細胞増殖に対する影響は見られなかった。間葉系幹細胞株中ではgrimp-GFP融合タンパク質が分解されやすいことが示唆されているので、その分解過程について、細胞種による差やメカニズムも含めて検討する。一方、作成した融合タンパク質を精製後再生芽に顕微注入し、タグに対する抗体やGFPの蛍光を利用してその局在を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
grimpタンパク質の精製については、従来よりベクターやタグを変更し、順調に進んでいる。抗体の作成に関しては、これから行う。grimp-GFP融合タンパク質については、N端とC端の両方の融合ベクターを作成し、異種細胞に強制発現することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き、タグ付きまたはGFP融合grimpタンパク質の精製を推進し、再生芽に顕微注入して挙動を解析するとともに、抗体による機能阻害実験を行う。grimp―GFP融合タンパク質を用いて、タンパク質分解のしくみについて調べる。抗タグまたは抗GFP抗体を用いて、grimpタンパク質と共沈(相互作用)するタンパク質の探索を行う。grimp発現は増殖するネオブラスト(Neo) 等のvasa遺伝子を発現する中胚葉系再生幹細胞に見られる。grimpとvasaが同じ細胞に発現しているのかどうかについて、double ISHあるいは抗体染色を組み合わせることにより検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
効率的な研究遂行のため人件費(派遣)として使用した。3月分の人件費の支払いが次年度4月に請求されるため、その分を繰り越した。次年度の研究進展(抗体作成)に必要なため、物品費も繰り越した。 3月分の人件費の支払いを1ヶ月分使用する。物品費については抗体作成費用として充当する。
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