研究概要 |
多能性幹細胞の成立に必要なシグナルネットワークを進化的な観点から理解するために、多能性維持に重要な役割を果たしているNanog遺伝子がゲノムから失われているツメガエルを用いて研究を行った。平成25年度は、多能性幹細胞の樹立に必要なリプログラミング因子であるSox2, Oct3/4, Klf4, c-Myc等の導入に用いる培養細胞の作製を行った。初期ツメガエル胚から、組織片の切り出しまたは細胞解離を行い、それらをゼラチンコートしたデッシュ上で接着培養した。細菌等のコンタミネーション予防のために数種の抗生物質の効果を試した。その結果、Modified L-15 Medium Containing 10% Fatal Calf Serum(Methods in Cell Biology: Xenopus Laevis, Practical Uses in Cell and Molecular Biology, Vol. 36, 1991)を元に、改変を加えた培地を使用することで、コンタミネーションリスクをコントロールできた。この培地を用いて、継代を繰り返すことで、組織片培養から4株、全胚解離培養から2株のツメガエル培養細胞株を得た。これらの細胞の凍結保存方法について保存液や温度等の条件検討を行い、生存可能な凍結・融解方法を決定した。また、リプログラミング因子の導入に用いるウイルスベクターについても検討を行った。
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