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2015 年度 実績報告書

uORFにコードされるペプチドによる翻訳制御の植物における多様な役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25440122
研究機関北海道大学

研究代表者

尾之内 均  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50322839)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードuORF / 翻訳制御 / リボソーム / 新生ペプチド
研究実績の概要

mRNAの5′非翻訳領域にuORF (上流ORF)と呼ばれる小さなORFが存在し、そこにコードされる新生ペプチド鎖(uORFペプチド)が自身を翻訳したリボソームに作用して翻訳を制御する例が知られているが、そのような翻訳制御はごく一部の遺伝子にのみ見られる例外的な遺伝子発現制御であると考えられてきた。
本研究は、uORFにコードされるペプチドによる翻訳制御の植物における未知の役割を明らかにするために、アミノ酸配列依存的にタンパク質発現を抑制するuORFの生理学的役割の解析を行った。その結果、維管束形成を制御する転写因子をコードする遺伝子において、維管束木部細胞分化の抑制因子であるサーモスペルミン(ポリアミンの一種)に応答してuORFの翻訳が促進され、それによってmRNA分解が誘導されることを見いだした。また、Fボックスタンパク質をコードするある遺伝子では、細胞増殖が盛んな細胞で特異的にuORFペプチドによる翻訳抑制が強いことを見いだした。
さらに、ストレス応答に関与する2つの遺伝子とFボックスタンパク質をコードする1つの遺伝子において、複数のuORFが主要ORFの翻訳制御に関与することを見いだした。そのうちの2つの遺伝子では、uORFペプチドによる翻訳抑制に加えてリイニシエーション機構が翻訳制御に関与することを示した。また、Fボックスタンパク質遺伝子では、2つのuORFのアミノ酸配列が主要ORFの翻訳制御に関与し、下流側のuORFは翻訳を抑制し、上流側のuORFは翻訳抑制を緩和する働きがあることを見いだした。
以上のように、本研究により、uORFペプチドは様々な機構によって多様な遺伝子発現制御に関与することが明らかになった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 止まって働くリボソーム 新生ペプチドが司る植物の細胞内恒常性維持機構2016

    • 著者名/発表者名
      山下由衣,尾之内均,内藤哲
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 54 ページ: 191-197

  • [雑誌論文] An upstream open reading frame represses expression of a tomato homologue of Arabidopsis ANAC096, a NAC domain transcription factor gene, in a peptide sequence-dependent manner.2015

    • 著者名/発表者名
      Noh A.L., Watanabe S., Takahashi H., Naito S., Onouchi H.
    • 雑誌名

      Plant Biotechnol.

      巻: 32 ページ: 157-163

    • DOI

      10.5511/plantbiotechnology.15.0519a

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 維管束形成を制御するLONESOME HIGHWAY遺伝子のuORFペプチドが介する翻訳制御機構2016

    • 著者名/発表者名
      大角有里沙
    • 学会等名
      第57回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      岩手大学(岩手県・盛岡市)
    • 年月日
      2016-03-18 – 2016-03-20
  • [学会発表] リボソームアレストを引き起こす被子植物uORFの探索2016

    • 著者名/発表者名
      林憲哉
    • 学会等名
      第57回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      岩手大学(岩手県・盛岡市)
    • 年月日
      2016-03-18 – 2016-03-20
  • [学会発表] 制御ペプチドをコードする二つのuORFが関与する翻訳制御機構2015

    • 著者名/発表者名
      工藤凜
    • 学会等名
      第17回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      ホテルライフォート札幌(北海道・札幌市)
    • 年月日
      2015-07-15 – 2015-07-17
  • [学会発表] リボソームアレストを引き起こす被子植物のCPuORFの探索と機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      林憲哉
    • 学会等名
      第17回日本RNA学会年会
    • 発表場所
      ホテルライフォート札幌(北海道・札幌市)
    • 年月日
      2015-07-15 – 2015-07-17
  • [備考] 北海道大学 農学部 大学院農学院 大学院生命科学院 大学院農学研究院 分子生物学研究室 トップページ

    • URL

      http://www.agr.hokudai.ac.jp/arabi/index.html

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公開日: 2017-01-06  

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