研究課題
基盤研究(C)
花と果実では器官脱離過程の離層において、細胞壁構造が大きく異なることが申請者により示されている。免疫組織化学的解析により、落花過程の離層ではヘミセルロースとアラビノガラクタン、落果過程の離層ではリグニンによる細胞壁再編がされていた。器官脱離過程で変化する細胞壁の合成および分解制御に着目し、落花と落果において異なる器官脱離制御機構を明らかとすることが本研究の目的である。本年度は、実際に果実が形成される時期の細胞壁多糖の動きと、落花と落果の離層における細胞壁多糖類と細胞壁関連酵素の経時的変化を観察し、その制御メカニズムについて調査した。果実の初期発達にはペクチンの増加とメチル化度の調節が重要であることがわかった。また、器官脱離においては、開花後から3日目にかけて、ヘミセルロース性多糖類であるキシログルカン、アラビナンが、脱離するステージをピークに受粉阻止直後から徐々に蓄積していく様子が観察された。また、細胞壁のゆるみに重要なエクスパンシンは、このヘミセルロース性多糖類とほぼ同様のパターンでシグナルの増加が観察された。XTHは受粉阻止した直後から増え始め、一日目で蓄積のピークを迎え、その後シグナルは減少したことから、ヘミセルロース再編は、受粉が生じなかった直後から行われていることが示唆された。実での免疫組織化学染色は現在進行中であるが、抗CesA7抗体による染色で、二次細胞壁合成過程を今後見ていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
器官細胞層のサンプリングは非常に困難であったが、細胞壁再編に関する酵素類の制御メカニズムに関する新たな知見が得られたことは、進展がみられたと言って問題ないと思われる。また、それに関連した論文発表を複数行えたことは研究の進展に大きく寄与したと考えている。
現在までにえられた成果に加え、果実における二次細胞壁再編のメカニズムについてさらに調査を行う。本研究結果をもとに、早い段階で論文発表としてまとめる予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
PLoS One
巻: 9 ページ: -
10.1371/journal.pone.0089871
Journal of Plant Research
巻: 126 ページ: 719-728
10.1007/s10265-013-0555-5
巻: 8 ページ: -
10.1371/journal.pone.0078949
植物細胞壁
巻: - ページ: 160-162