研究実績の概要 |
花と果実では器官脱離過程の離層において、細胞壁構造が大きく異なることが申請者により示されている。免疫組織化学的解析により、落花過程の離層ではヘミセルロースとアラビノガラクタン、落果過程の離層ではリグニンによる細胞壁再編がされていた。器官脱離過程で変化する細胞壁の合成および分解制御に着目し、落花と落果において異なる器官脱離制御機構を明らかとすることが本研究の目的である。現在までに、細胞壁再編に関わる酵素であるエクスパンシン、キシログルカンエンドトランスグルコシラーゼ(XTH)、そしてリグニンと関係の深い二次細胞壁形成に関わるセルロース合成酵素CESA4, 7, 8の変化について着目し、落花において、エクスパンシンはもっとも脱離がおこるステージにおいて、離層特異的な蓄積が極大を示し、XTHは、脱離誘導後、1日目にピークを迎えたが、その後直ちに減少した。そして、落果においては、エクスパンシン、XTHともにほとんど蓄積が見られず、またリグニンが蓄積していたのにも関わらず、CESA4,7,9の蓄積も見られなかった。落花と落果では異なる制御機構が存在することが示された。本研究内容についてまとめた論文が、2015年にFronties in Plant Scineceに受理され発表できた。また、JT生命誌研究館、季刊生命誌9月号 2016にも受理され発表予定である。
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