研究課題/領域番号 |
25440128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小田 祥久 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30583257)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 微小管 / キネシン / 細胞壁 |
研究概要 |
本研究課題は、木部道管における二次細胞壁のパターン形成をモデルとして、植物の形態形成に必須な細胞壁パターンの制御機構を解析します。これまでの研究により、二次細胞壁のパターン形成において、ROPGEF4, ROPGAP3による局所的なROP11の活性化、ROP GTPaseによるMIDD1を介した表層微小管の脱重合が重要なプロセスであることを明らかにしました。昨年度は、MIDD1がKinesin-13Aを介して表層微小管を脱重合する分子的な仕組みを明らかにし、その成果を発表しました。また、局所的にROP GTPaseが活性化する仕組みを明らかにするために、関連因子の複合体の単離と質量分析による複合体の解析、超解像顕微鏡を用いた観察法の検討、細胞壁パターンの新規制御因子の探索等を行いました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度の主要な成果として、MIDD1が表層微小管を脱重合する仕組みを明らかにしました。まず、木部道管において、MIDD1と同様の局在を示す因子を網羅的に可視化し、探索しました。その結果、Kinesin-13AがMIDD1と顕著に共局在することを突き止めました。BiFC法を用いた結果、Kinesin-13AとMIDD1が in vivo で相互作用していることが明らかとなりました。Kinesin-13Aの発現を抑制あるいは過剰にした結果、二次細胞壁のパターンに異常が生じました。Kinesin-13Aはin vitroにおいてATP依存的に微小管を脱重合する活性を持ち、in vivoにおいてはMIDD1に依存的に表層微小管に局在し、表層微小管を脱重合しました。これらの結果から、MIDD1がKinesin-13Aと結合することにより、局所的に表層微小管の脱重合を促進していることが明らかとなりました。このような仕組みは動植物を通じて初めて明らかになったものであり、植物細胞の形態形成を理解する上で価値の高い知見と言えます。これに加えて、ROP11およびROPGEF4の複合体の単離と同定を試み、有望な候補因子の同定に成功しています。また、構造化照明法による超解像顕微鏡を用いることにより、in vivoにおけるMIDD1の挙動にも新知見を得つつあります。さらに、マイクロアレイデータを元にしたスクリーニングにより、新規の細胞壁パターン制御因子の候補を複数同定しました。このように、高い成果を挙げたのみならず、今後飛躍的に発展する見込みのある結果が得られており、本研究計画は当初の計画以上に進展しています。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、Kinesin-13Aがin vivoにおいてMIDD1依存的に機能する仕組みを明らかにするために、Kinesin-13Aの相互作用因子の探索を行います。免疫沈降と質量分析による探索、酵母two-hybrid法を予定しています。MIDD1-Kinesin-13A複合体が適切に機能するには、局所的なROP GTPaseの活性化が必須です。ROP GTPase およびROPGEF4の相互作用因子に関しても昨年度に引き続き探索します。すでに免疫沈降法と質量分析により候補因子を同定していますので、それらの局在と機能の解析を進める予定です。同定した新規の細胞壁パターン制御因子候補の機能解析を行うとともに、超解像顕微鏡を用い、in vivoにおけるMIDD1とKinesin-13Aの挙動を詳しく解析します。
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