研究課題
原形質流動は植物の細胞内運動であるが,その分子機構については不明な点が多い.われわれは「小胞体運動が原形質流動の原動力である」という仮説を考案し,その検証を進めている.本課題では,小胞体運動において全く未解明である小胞体側の機構を明らかにすることを目的としている.これまでに,小胞体運動に異常を示す変異体を見出し,その原因因子が小胞体膜に局在して小胞体の膜融合に機能するタンパク質であることを明らかにしてきた.さらに,免疫沈降とプロテオーム解析を組み合わせて,この小胞体膜融合因子と相互作用するタンパク質の探索を行い,複数の候補タンパク質を見出している.本年度は,この相互作用タンパク質の解析を中心として,下記に示す成果を得た.候補タンパク質の中から「小胞体局在」かつ「膜貫通ドメイン」を持つことが予測されるタンパク質ファミリーに焦点を当てた.蛍光タンパク質との融合タンパク質を発現させて細胞内局在の解析を行った結果,これらのタンパク質は小胞体膜上に局在することが確認された.また,これらタンパク質の変異体を確立し,小胞体を可視化して運動性と形態・分布を解析した.その結果,単独変異体では異常が観察されなかったが,アミノ酸配列に高い相同性をもつホモログ同士の二重変異体では,小胞体ネットワークの形態と分布に異常を示すことが明らかとなった.現在,この二重変異体における小胞体の運動性の解析,さらに融合因子との多重変異体の作製を進めている.
2: おおむね順調に進展している
概ね計画通りに進展しており,小胞体膜上に存在する因子の解析を通じて小胞体の運動機構を解く手がかりを見出すことができたため.
当初の計画に沿って推進する予定である.
一部の実験に計画よりも時間を要し,次の実験に使用する物品をH27年度に購入することにしたため.
当初の研究計画と内容は変わらないため,H26年度に購入する予定であった試薬・プラスチック器具等を購入する.
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2014/150324_1.html