研究課題
本研究では、植物のmRNA代謝に着目して、植物形態形成における遺伝子発現制御メカニズムの理解を目指した。具体的には、スプライシングに必須であるSF3b複合体の全構成因子を植物で研究するために、酵母とヒトの構成因子を参照し、シロイヌナズナにおける相同因子群を同定した。その結果、7つのうち6つのサブユニットは複数の遺伝子がコードしていることが判明した。つぎに、これらの遺伝子機能を順次解析する逆遺伝学的アプローチと、SF3bタンパク質複合体構成因子の同定する生化学的アプローチを進めた。この成果は、国内外の学会、招待講演、国際雑誌論文などに発表した。以下成果の一部を列記する。1)植物SF3b構成因子のAtSAP130AとAtSAP130Bとが花粉形成に不可欠であることを報告したが、新たにSAP14bが花粉形成に不可欠であることを見出した。機能欠損植物の発生学的解析の結果、特定の時期から形態異常がみられることを確認した。2)AtSAP49は胚発生において不可欠であり、機能欠損植物が球状型胚以降の発生に異常を示すことを明らかにした。前記結果と合わせて考えると、SF3bのサブユニットごとに、標的遺伝子の選択性に関わる貢献度が異なると考えられ、このプレファレンスの制御機構を解析している。3)植物粗抽出物を用いた生化学的解析を進め、植物SF3b構成因子の同定と動態を解析している。4)さらにSAP130と結合するCSN1に注目し、csn1変異体にCSN1遺伝子を発現する部分相補植物が、花粉形成過程に異常を示すことを発見した。解析の結果、花粉形態形成異常が現れる時期や表現型がSAP130 RNAi植物のそれとよく似ていることから、CSN1とSAP130十が協調的に調節する花粉形態形成過程があることを検討している。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Plant Cell
巻: 28 ページ: 55-73
doi: 10.1105/tpc.15.00949.
Plant Cell Physiol
巻: 56 ページ: 2014-2023
doi: 10.1093/pcp/pcv121.
Plant J
巻: 81 ページ: 426-437
doi: 10.1111/tpj.12741.
巻: 27 ページ: 2894-2906
doi: 10.1105/tpc.15.00607