研究課題
細胞分裂を制御する分子メカニズムは非常に複雑であるが厳密である。本研究は植物細胞の染色体分離制御に着目し、チェックポイントタンパク質に対するSUMO翻訳後修飾の関わりを解明し、詳細な分子機構を明らかとすることを目的としている。真核細胞で広く保存され、SUMO化による翻訳後修飾制御を受けることが報告されているオーロラキナーゼの研究を行った。オーロラキナーゼのSUMO化に関する知見の多くは主に動物細胞や酵母を用いて得られたものであるが、関連する分子の保存性が低いなど植物細胞ではその制御様式は異なる可能性が高い。これまでの研究から、シロイヌナズナのAUR3がSUMO化され得ることと、ノックダウンによって生長の遅延と形態異常が生じることを見出している。前年度に作成した、AUR3を標的とするgRNA及びCas9を導入した形質転換体の選抜を進め、T-DNA null-segregantかつAUR3変異のヘテロ接合体を複数系統取得した。これらの変異体系統からゲノムDNAを精製してシークエンス解析を行い、フレームシフト変異を生じpremature stop codonを含むようになったものを複数選び出した。さらにこれらの系統を育成し、次世代においてGenotypingを行った。野生型とヘテロ接合体がおおよそ1:2の割合で出現し、ホモ接合体は出現しなかった。このことは、ホモ接合体が致死であることを示唆している。さらにヘテロ接合体の未熟な果実を分解して種子を観察したところ、成長を止めているものが多数存在していた。さらに、これらの変異体系統にAUR3のゲノムDNAを導入して機能相補することを確認した。また、GFP融合型AUR3とSUMO-null変異型ゲノム配列を用いた相補性の試験を行うため、これまでに確立してある形質転換体との交配を行った。
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Journal of Experimental Botany
巻: 67 ページ: 4813-4826
https://doi.org/10.1093/jxb/erw208