研究実績の概要 |
Xylogenの作用機構・輸送機構の解析:シロイヌナズナXYP1-GFP, XYP2-GFP発現株を観察し、その輸送過程を解析した。様々な阻害剤を処理することで、ゴルジ体から細胞膜への輸送過程を検出することができた。XYP1,2のC末端にはGPIアンカーが存在し、輸送過程において主要な役割を果たすことが明らかになった。Xylogenの作用機構を明らかにするため、XYP1-GFP, XYP2-GFPを免疫沈降し、質量分析により相互作用因子の探索を行ったところ、細胞壁関連タンパク質が相互作用することが示唆された。 サーモスペルミンとオーキシンの作用機構:サーモスペルミン合成酵素ACL5の阻害剤を開発することに成功し、論文を発表した(Yoshimoto et al. 2016)。この阻害剤をxyleminと名付け、詳細な解析を行った。Xyleminを野生株に添加すると、サーモスペルミン蓄積が抑制され、道管の過剰な分化と矮性化が引き起こされ、acl5変異体の表現型をミミックできた。Xyleminとオーキシン類縁体を添加すると、タバコやシロイヌナズナなどで顕著に木部分化が促進された。この分化誘導時の遺伝子発現パターンを特徴づけた。 新奇シグナル分子の同定と機能解析:細胞分裂と木部分化における葉酸の機能を解析した。葉酸は細胞分裂に必要であること、植物ホルモンの分布や応答性に関与することが示唆された。また、細胞分裂が木部形成に不可欠であることが示された。 効率的な維管束分化系の開発:Xyleminとオーキシンの同時添加による木部分化誘導系の開発を進め、様々な植物への適用を行った。
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