研究課題/領域番号 |
25440139
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 康 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (80274306)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | シロイヌナズナ / lig変異体 / UDP-N-アセチルグルコサミン / 小胞体ストレス応答 / リグニン化 / GlcNAcキナーゼ / タンパク質糖鎖修飾 / 温度感受性変異体 |
研究概要 |
タンパク質のN糖鎖修飾等に必須なUDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)の生合成の生理的意義を、シロイヌナズナを用い、UDP-GlcNAc生合成が阻害されリグニン異常蓄積が起こるlignescens(lig)変異体等を利用し解析する。 2013年度は、1)小胞体ストレスとリグニン異常蓄積の関係の解明、2)植物におけるGlcNAcからのUDP-GlcNAc再生経路の解明を進めた。1)に関しては、小胞体ストレス応答(UPR)部位検出のため、BiP3プロモーター::GUS導入系統を用い、ツニカマイシン、Flg22、キトサン処理後のUPRとリグニン蓄積の関係を解析した。その結果、ツニカマイシン処理は根と子葉でUPR後にリグニン蓄積を誘導、Flg22処理は子葉でUPR後にリグニン蓄積を誘導、キトサン処理は根でリグニン蓄積後にUPRを誘導し、様々なストレス下におけるUPRとリグニン蓄積の複雑な関係が示された。2)に関しては、植物では未知の、GlcNAcからのUDP-GlcNAc再生経路に関わるGlcNAcキナーゼ(GNK)遺伝子の解明を進めた。動物GNK遺伝子のシロイヌナズナ推定ホモログについて、大腸菌で融合タンパク質を作成し解析した結果、植物で初めてGNK活性を検出した。さらに動物GNKとの比較から植物GNKの酵素学的性質を明らかにした。 2014年度は、BiP3プロモーター::GUS等を導入したlig系統を作成し、UDP-GlcNAc欠乏と、細胞分裂、UPR、細胞死等の関係を詳細に解析する予定である。また、lig変異とGNK破壊の二重変異体を作成し、UDP-GlcNAc新規合成及びGlcNAcからの再生の両経路を阻害した際の、UDP-GlcNAc量変化と植物体への影響の解析を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度は、植物におけるGlcNAcからのUDP-GlcNAc再生経路に関わる遺伝子を発見し、酵素学的性質を明らかにすることができた。また、小胞体ストレスとリグニン蓄積の関係の解析を進めることができた。lig変異体へのBiP3プロモーター::GUS遺伝子導入体等の作成は現在進行中であるが、全体としては、おおむね順調に進行しているとした。
|
今後の研究の推進方策 |
2014年度は、lig変異体へのBiP3プロモーター::GUS導入体等を用い、lig変異体においてUDP-GlcNAcが欠乏した際の植物体の特に根への影響を、細胞分裂、UPR、細胞死に注目し解析していく予定である。また、lig変異とGNK破壊の二重変異体系統を確立し、それを用い、UDP-GlcNAcの新規合成及びGlcNAcからの再生経路の両方が阻害された場合の影響を、UDP-GlcNAc定量及び表現型解析により詳細に行っていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
年度末の1~3月に消耗品を購入するのに必要な予算を残していたが、全て使い切ることにはならなかったため、翌年度に消耗品を購入することとした。 前年度から繰り越した予算は消耗品購入に充てる予定である。今年度分の助成金は、研究遂行のための物品費として主に使用し、必要に応じて、謝金及び研究成果投稿料として用いる予定である。
|