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2013 年度 実施状況報告書

葉緑体光定位運動におけるCHUP1シグナリング複合体構成因子の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25440140
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

孔 三根  九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70514157)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード葉緑体運動 / 青色光 / 光受容体 / フォトトロピン / アクチン繊維 / 信号伝達
研究概要

細胞膜にアンカーされている葉緑体が速やかに動くためには、葉緑体外包膜上に局在するCHUP1は青色光依存的にダイナミックな局在変化を伴い様々な因子との可逆的な相互作用が必要である。
本年度は、CHUP1シグナリング複合体の構成因子間の相互作用、CHIP1の生理機能、およびphot2を介した構成因子のリン酸化を検討した。
1.CHUP1シグナリング複合体を構成する新規因子を探るため、CHUP1-GFP、CHUP1-TAPi融合遺伝子を導入した形質転換植物体における発現量や生理応答の確認、そして膜分画からCHUP1の免疫沈降に成功した。また、CHUP1局在に関与する既存の因子に対しては構成因子間の相互作用を検討した。
2.CHUP1の結合タンパク質であるCHIP1の葉緑光定位体運動における生理機能を調べた。chip1変異体は葉緑体運動における顕著な表現型を示さなかった。そこでchip1のホモログであるchil1、chil2変異体をSALK ラインから入手し、多重変異体を構築したが、chip1chil2など二重変異体もchup1変異体が示す様な顕著な葉緑体運動の阻害は認められなかった。このことはCHIP1ホモログ同士が高いリダンダンシーを示すと考えられる。一方、ゼニコケでは1種類のCHIP遺伝子しか存在しない。京都大学の河内研究室との共同研究でゼニコケのchip欠損変異体を構築し、葉緑体光定位運動を調べた。野生型の細胞では葉緑体が細胞全体に均一に定位するが、chip欠損変異体の細胞では葉緑体が細胞内の一カ所に集まっていた。この表現型はchupとkac欠損変異体においても同様に観察された。以上の結果は、CHIPはCHUP、KACと同様に葉緑体アンカー機能に必須である。
3.CHUP1シグナリング複合体の制御にphot2からのリン酸化がどのように関わっているかを調べた。特に、CHIP1とTHRUMIN1は試験管内で青色光依存的にphot2によって直接リン酸化される、phot2の基質であることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は今年度から3年間の継続課題の1年目であり、CHUP1シグナリング複合体の構築原理を探る基礎的実験が始まった段階である。CHUP1シグナリング複合体の構成因子間相互作用の検定、葉緑体アンカーにおけるCHIP1の生理学的機能、CHUP1複合体の構成因子であるCHIP1, THRUMIN1の青色光依存的phot2によるリン酸化制御を明らかにした。以上の結果は計画した研究を順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

今後はCHUP1シグナリング複合体の構成因子とCHUP1の細胞内相互作用とphot2を介した構成因子の青色光依存的リン酸化がどのようにしてCHUP1シグナリング複合体の制御に関わっているかを調べる。特に、CHUP1と直接・間接的に相互作用するCHIP1、KAC、THRUMIN1などのCHUP1複合体構成因子らについてはCHUP1との共局在および構成因子間の細胞内挙動にどのように関わっているか、さらに青色光依存的phot2のリン酸化による制御機構を明らかにする。
1.CHUP1シグナリング複合体の機能解析と共に、免疫沈降サンプルを用いてプロテオーム解析から新規因子の探索を続ける。そして、構成因子間の詳細な相互作用を青色光依存的共局在と生化学的手法を用いてから明らかにする。さらに、各自の変異体はCHUP1-GFP、THRUMIN1-GFP, GFP-talin などのラインと掛け合わせ、CHUP1シグナリング複合体およびcp-actinの青色光依存的制御における機能を調べる。
2.phot2は細胞膜のみならず葉緑体外包膜上にも局在するため、細胞膜および葉緑体膜分画を用いてCHUP1がphot1, phot2を介したリン酸化・脱リン酸化を可逆的に受けるかどうかを調べる。そのために、暗所/青色光下でCHUP1を免疫沈降し、リン酸化状態およびリン酸化サイトを同定する。
3.phot2基質のCHIP1とTHRUMIN1についてはphot2特異的リン酸化サイトに変異を導入したリン酸化の不活性型及び活性型の形質転換体を作出し、phot2リン酸化の制御機構への関与をCHUP1との共局在や光依存的な相互作用、細胞内局在の変化、更に葉緑体光定位運動における生理応答への影響などから検討する。

次年度の研究費の使用計画

2波長同時観察光学システム(Dual-Veiw2)の購入がシステムのデモをしてからの特別発注であり、製品の納品が本年度内に間に合わなかったためである。
計画どおり、2波長同時観察光学系(Dual-Veiw2)を購入する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Recent advances in understanding the molecular mechanism of chloroplast photorelocation movement2014

    • 著者名/発表者名
      Sam-Geun Kong, Masamitsu Wada
    • 雑誌名

      Biochimica et Biophysica Acta-Bioenergetics

      巻: 1837 ページ: 522-530

    • DOI

      10.1016/j.bbabio.2013.12.004

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Actin-dependent plastid movement is required for motive force generation in directional nuclear movement in plants2014

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Higa, Noriyuki Suetsugu, Sam-Geun Kong, and Masamitsu Wada
    • 雑誌名

      Pro. Natl Acad. Sci. USA

      巻: 111 ページ: 4327-4331

    • DOI

      10.1073/pnas.1317902111

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interaction between avoidance of photon absorption, excess energy dissipation and zeaxanthin synthesis against photoxidative stress in Arabidopsis2013

    • 著者名/発表者名
      Stefano Cazzaniga, Luca Dall' Osto, Sam-Geun Kong, Masamitsu Wada, and Roberto Bassi
    • 雑誌名

      Plant Journal

      巻: 76 ページ: 568-579

    • DOI

      10.1111/tpj.12314

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Observation of chloroplast-actin filaments in leaves of Arabidopsis2013

    • 著者名/発表者名
      Sam-Geun Kong and Masamitsu Wada
    • 雑誌名

      bio-protocol

      巻: 3 ページ: 1-1

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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