研究実績の概要 |
細胞膜と葉緑体外包膜間に局在するCHUP1複合体のダイナミック、かつ可逆的な局在変化は、葉緑体の細胞膜への定着とcp-actin依存的葉緑体運動の制御に必須である。本年度は、CHUP1の細胞膜への結合に必要なCHIP1の機能解析、さらにcp-actinの束化因子であるTHRUMIN1の構造解析を行った。 1. CHIP1の機能解析 CHUP1の複合体因子として葉緑体の細胞膜へのアンカーに必須のCHIPの詳細な分子機構をシロイヌナズナで解析するために、CHIP1ホモログであるCHIL1, CHIL2のノックアウトを構築した。CHIP1ホモログの2重欠損変異体は、野生型より葉緑体運動の速度が低下していることを確かめた。さらに、chip1変異体にCHIP1-GFPとCHIP1-RFP遺伝子を導入した形質転換体を構築した。これらの形質転換体は、内在性CHIP1タンパク質並みのCHIP1-GFPとCHIP1-RFP発現量を示し、欠損変異体の機能を回復した。また、CHUP1とKAC1が示す青色光依存的細胞内局在の変化を確かめた。CHIP1とCHUP1の結合には、CHUP1-NとCHIP1の同士の結合に因るものであることをY2Hシステムにより分子間相互作用を用いて確定した。 2.THRUMIN1の構造解析 CHUP1複合体因子であるCHUP1-N、CHIP1、THRUMIN1の組み替えタンパク質の精製条件を確立した。その内、THRUMIN1のC末端はタンパク質結晶構造解析に成功した。THRUMIN1はC末端領域を介して二量体を形成した。さらに、Cys-rich領域はZincと結合するモチーフであった。
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