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2015 年度 実績報告書

単純な細胞構成を備えたホヤ幼生筋における多重神経支配の意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25440150
研究機関弘前大学

研究代表者

西野 敦雄  弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (50343116)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード神経筋結合 / 運動制御 / アセチルコリン受容体 / グリシン受容体
研究実績の概要

尾索動物ホヤ類の幼生は、脊椎動物とボディプランを共有したオタマジャクシ型の形態を示し、海洋中を自由に泳ぐ。しかしホヤ幼生は、ギャップ結合で電気的に連結された片側わずか約20個(左右で計約40個)の筋肉細胞を備えるのみである。研究代表者は、このホヤ幼生のごく少数からなる筋細胞群が「可変的な強度をもって前後に伝播する屈曲波を生み出す仕組み」に関する研究を行っている。本研究の目的は、この幼生の筋肉帯において、アセチルコリンによって媒介される興奮性のシグナルばかりでなく、グリシンによって媒介される抑制性のシグナルを受容することが、筋肉帯が「可変的な強度をもって前後に伝播する屈曲波を生み出す」上で本質的な役割を果たすことを確証することであった。本研究によって、長くアセチルコリンによる単一支配が信じられてきた脊索動物の神経-筋システムを、新たに捉えなおす重大な契機が与えられると期待される。
本年度は、カタユウレイボヤとマボヤという2種において、幼生期に発現するニコチン型アセチルコリン受容体の全サブユニット遺伝子のcDNAを単離し、遺伝子発現様式を定めた。また、マボヤのグリシン受容体およびGABAA受容体のサブユニット遺伝子を単離し、発現様式を定めた。その結果、一部で相違があるものの、2種間で共通して幼生筋にニコチン型アセチルコリン受容体のA1, BGDE3, B2/4サブユニット遺伝子が発現していること、また単一のグリシン受容体遺伝子が共発現していることを明らかにした。GABAA受容体は筋肉にはなく、感覚神経節と運動神経節に発現していた。ホヤ類の中で系統的に遠く離れたこれら二種で、幼生筋にアセチルコリン受容体とともにグリシン受容体が共発現していたことは、ホヤ類の幼生筋が興奮性シグナルと抑制性シグナルの両方を受容しているという仮説を強く支持する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] ホヤのオタマジャクシ型幼生における螺旋型遊泳運動の解析2015

    • 著者名/発表者名
      渡部翔、西野敦雄
    • 学会等名
      日本動物学会第86回大会
    • 発表場所
      新潟市朱鷺メッセ
    • 年月日
      2015-09-17 – 2015-09-19
  • [学会発表] アセチルコリン(ACh)によるホヤの鰓の繊毛停止反応の誘起2015

    • 著者名/発表者名
      城倉圭、西野純子、小笠原道生、西野敦雄
    • 学会等名
      日本動物学会第86回大会
    • 発表場所
      新潟市朱鷺メッセ
    • 年月日
      2015-09-17 – 2015-09-19
  • [学会発表] 次の35年のために、被嚢動物学をもう一度考えてみる2015

    • 著者名/発表者名
      西野敦雄
    • 学会等名
      日本動物学会第86回大会、関連集会「第35回ホヤの生物学談話会」
    • 発表場所
      新潟市朱鷺メッセ
    • 年月日
      2015-09-17 – 2015-09-19
    • 招待講演
  • [学会発表] カタユウレイボヤ幼生の遊泳運動を生み出すパターン発生器の領域特定2015

    • 著者名/発表者名
      原隆志、西野敦雄
    • 学会等名
      日本動物学会平成27年度東北支部大会
    • 発表場所
      東北大学農学部
    • 年月日
      2015-08-08 – 2015-08-09
  • [学会発表] 群体性被嚢類ネンエキボヤの実験室内における無性・有性生殖の制御の試み2015

    • 著者名/発表者名
      西野純子、工藤千珠秀、西野敦雄
    • 学会等名
      日本動物学会平成27年度東北支部大会
    • 発表場所
      東北大学農学部
    • 年月日
      2015-08-08 – 2015-08-09
  • [学会発表] Possible involvement of an alpha7-class nicotinic acetylcholine receptor in the ciliary arrest response in Ciona stigmatal cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Kei Jokura, Junko Nishino, Michio Ogasawara, Atsuo Nishino
    • 学会等名
      The 8th International Tunicate Meeting
    • 発表場所
      Aomori City Cultural Hall
    • 年月日
      2015-07-13 – 2015-07-17
    • 国際学会
  • [学会発表] Are the spiral swimming trajectories of the larva based on the spiral configuration of myofibrils in the tail muscle cells?2015

    • 著者名/発表者名
      Sho Watanabe, Atsuo Nishino
    • 学会等名
      The 8th International Tunicate Meeting
    • 発表場所
      Aomori City Cultural Hall
    • 年月日
      2015-07-13 – 2015-07-17
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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