メダカゲノムには新規ステロイド膜受容体(mPR)の4種類の遺伝子が存在するが、本研究により4種類全ての点変異系統が樹立できた。さらに、それぞれの遺伝子の変異系統の内、最も表現型の期待される系統どうしを掛け合わせ2重、3重変異体の作出も進めた。3重変異のホモ個体については飼育中に死亡している可能性高く、今のところ作出には成功していない。今後、個別飼育など飼育環境を改善しすると伴に、死亡直前での形態観察、遺伝子型判定のためのゲノムDNA抽出を行うようにして変異との関係を究明していく。 排卵誘導遺伝子群の解明についてはマイクロアレイ解析によりリストアップされた遺伝子群の内、発現変動の大きかった4種類についてリアルタイムPCR(主要設備)による発現解析を実施し、確かに排卵特異的な変化を示すことを検証した。解析試料については新たに自然条件化での変化であることを確かめるため、自然排卵群からの試料調製も行い、同様の遺伝子発現変動を示すことを確かめた。26年度にゲノム支援プロジェクトに採択されたことにより、新たにRNA-seqによる発現解析が可能になった。26年から27年にかけて合計4回の発現解析を実施した。驚くべきことにマイクロアレイ解析とRNA-seq解析では発現変動を示す遺伝子の種類が大きく異なっているとの結果であった。また、RNA-seq解析で統計的に有為な発現変動を示したのは2つの遺伝子のみであった。これらの遺伝子についてリアルタイムPCR(主要設備)による発現解析を実施し、確かに排卵特異的な変化を示すことを検証した。今後、CRISPR/Cas9法によりこれらの遺伝子破壊系統を作出し、排卵誘導遺伝子であるかどうか検証する。
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