研究実績の概要 |
エレクトリックノーズのセンサー素子となるタンパク質、CP-Lip1とCSPの匂い分子結合特性について、さらに研究を進めた。 CP-Lip1についてはセンサー素子とした時に問題となるタンパク質の安定性とリガンド結合特性との関連を調べた。CDスペクトル測定の結果からは、二次構造レベルでの変性に至るまでの耐性は高いものと判断できた。またpHによる構造変化についても調べた。pH4.0、pH7.4、pH9.0の試料について、蛍光色素bis-ANSの結合、リガンドIBMPの結合に伴うCDスペクトル、蛍光スペクトルの変化を調べた。pH4.0でのCP-Lip1の挙動はセンサーに固定化されたCP-Lip1センサー素子の再生等に利用できるのではないかと考えている。(発表論文 Xing Li et al., Jpn. J. Taste Smell Res., 22, 423-424, 2015) CSPでは、CSP1とCSP3の大量発現、精製系を確立し、それらの二次構造、リガンド結合特性について調べた。両タンパク質のトリプトファンの蛍光スペクトルに興味深い違いを見出した。これについては、トリプトファンを変異させたタンパク質を発現させ、より詳細な解析をすすめている。(発表論文 Wendurige et al., Jpn. J. Taste Smell Res., 22, 425-428, 2015)また、センサー素子として金薄膜に固定するために、N末またはC末をビオチン化したCSPを発現する系を構築した。 センサーとして、レイリー型表面弾性波センサーの開発を行い、その特性について評価した。特に信号をもたらすレイリー波の縦波放射の挙動について解析した。(発表論文 Kengo Ogawa et al., IEEJ, 135, 490-495, 2015)
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