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2015 年度 実績報告書

精子CO2センシングの分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 25440169
研究機関島根大学

研究代表者

広橋 教貴  島根大学, 生物資源科学部, 教授 (90376997)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード代替繁殖戦術 / スニーキング / 精子進化 / 交尾後性選択 / 精子寿命 / 解糖系
研究実績の概要

高等動物の体内でCO2感知・応答(センシング)に関わる細胞(化学受容体)は中枢神経系や動脈に存在し、おもに呼吸制御に関わる。また嗅覚・味覚受容にもCO2に応答する神経細胞・器官が存在し、体外環境のCO2によって動物の基本行動(忌避・採餌・配偶行動)が決定される。すなわちCO2は好気的細胞代謝で生じる主要な副産物であると同時に、生体の機能や恒常性を司る重要なシグナルメディエーターとして認識されているが、CO2センシングの分子機構の解明は未だ黎明期と言えよう。その一因として、CO2センシング機能は複雑な感覚器官内のごく一部の神経細胞にしか存在せず、また扁桃体や中枢神経にあっては、生体内イメージングの技術的制約が障害となっている。頭足類ヤリイカには、2種類の雄(スニーカー雄とペア雄)が存在し、スニーキング交接を行うスニーカー雄のつくる精子には、好気的呼吸によって排出する二酸化炭素に集合する性質があることをこれまで明らかにしている。また、2型雄の精巣に発現するRNAと精子に存在するタンパク質を網羅的に比較解析してところ、顕著な違いの1つとして、解糖系酵素が見つかっていた。そこで今回、スニーカー精子(S)とペア精子(P)を用いて、エネルギー代謝に関わる機能を比較したところ、①運動持続性と受精能の維持においてS>Pであった。②この違いは細胞内のグリコーゲン量で説明できることが分かった。③S精子だけがもつ集合形質は、集合体の微小環境を嫌気的にし、その結果、酸化的リン酸化非依存的にATPが産生され、乳酸を大量に排出する。④乳酸排出によって、環境が酸性化し、それにより自己集合が安定化される。⑤一連の代謝制御機構によりS精子は長寿命を可能とする。⑥S精子は雌の貯精嚢に長期間蓄えられることから、適応的な生理的機能として説明されることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Complex adaptive traits between mating behaviour and post-copulatory sperm behaviour in squids.2016

    • 著者名/発表者名
      Noritaka Hirohashi, Tomohiro Iida, Noriyosi Sato, Sauer H.H. Warwick, Yoko Iwata
    • 雑誌名

      Review in fish biology and fisheries

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] The molecules supporting fertilization and their surrounding molecular environment2015

    • 著者名/発表者名
      Noritaka Hirohashi
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会ワークショップ
    • 発表場所
      神戸国際会議場(神戸市)
    • 年月日
      2015-12-04 – 2015-12-04
    • 招待講演
  • [学会発表] How squid sperm determine directional changes in a pH gradient.2015

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Iida and Noritaka Hirohashi
    • 学会等名
      Cephalopod International Advisory Council (CIAC)
    • 発表場所
      函館国際ホテル(函館市)
    • 年月日
      2015-11-12 – 2015-11-12
    • 国際学会
  • [学会発表] Are the sperm smarter than their donors?2015

    • 著者名/発表者名
      Noritaka Hirohashi
    • 学会等名
      Cephalopod International Advisory Council (CIAC)
    • 発表場所
      函館国際ホテル(函館市)
    • 年月日
      2015-11-11 – 2015-11-11
    • 国際学会
  • [学会発表] Complex adaptive ejaculate traits in relation to alternative reproductive tactics in Heterololigo bleekeri.2015

    • 著者名/発表者名
      Noritaka Hirohashi
    • 学会等名
      CIAC2015 workshop
    • 発表場所
      函館市国際水産・海洋総合研究センター(函館市)
    • 年月日
      2015-11-09 – 2015-11-09
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ヤリイカスニーカー精子におけるpH勾配に対する方向転換2015

    • 著者名/発表者名
      飯田智宏、広橋教貴
    • 学会等名
      日本動物学会年会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟市)
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-19

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公開日: 2017-01-06  

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