本研究では微量金属イオンの代謝経路と生理学的意義の解明のために、バナジウムを高度に濃縮するホヤ類をモデル系として、人工酵素によるノックアウトホヤの作成実験とバナジウム濃縮経路の逆経路による生理作用の検証実験を行う。また当初計画をさらに深く掘り下げるためにメタゲノム解析とトランスクリプトーム解析も並行して進めた。 平成27年度は以下の項目を実施した。 (1)カタユウレイボヤの5つのVanabin遺伝子全体を大きく欠損させたホヤを作成し、その性質の解析を行った。(2)トランスクリプトーム解析の結果にもとづき、in vitro機能解析を組み直した。(3)バナジウム濃度の異なる3種のホヤの器官ごとのメタゲノム解析を行い、金属濃縮度と相関する細菌群を見出した。(4)腸内細菌に由来するバナジウム還元酵素を見出した。(5)トランスクリプトーム解析の結果を精査し、新規バナジウム結合タンパク質およびバナジウム膜輸送体候補遺伝子を見出した。
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