研究課題/領域番号 |
25440171
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩越 栄子 広島大学, 総合科学研究科, 研究員 (50311296)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生理活性ペプチド |
研究実績の概要 |
本年度は、研究代表者らが独自の研究により見出した新規抽出法を用いて、鳥類ニワトリから新規生理活性ペプチドを同定すべく実験を行った。 前年度の条件検討の結果を踏まえて、ニワトリ雛500個体から抽出組織を、脳、心臓、腺胃、腸管(十二指腸から直腸まで)と細分化して摘出した。まずは、腺胃と腸管からキンギョの腸管収縮を活性指標にして、新規物質の探索を開始した。 本抽出法の特徴である有機溶媒を用いて抽出した後、脱脂を行うことにより、問題なく粗精製を行うことができた。次に粗精製画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて純化を進めたが、疎水性物質の精製に向いているカラムを用いた場合においても、途中で活性がみられなくなるという問題が生じた。この原因のひとつとして「異種動物を用いたアッセイ法である」ことが考えられた。そこで、キンギョではなくニワトリ雛の十二指腸の収縮を活性指標に用いることにした。 これまでに、cholecystokinin-8 sulfate、glucagon-like-peptide、fatty acid binding protein、apolipoprotein等を同定できたが、すべて既知の物質であった。しかしながら、いずれも疎水性の高い物質であることから、我々が用いている新規抽出法は疎水性物質の同定に適していることを再確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、出発材料をニワトリ雛500個体と増量し、摘出する組織を細分化することにより、生理活性ペプチドの精製を精力的に行うことができた。腺胃と腸管から、ニワトリ雛の十二指腸の収縮を活性指標に探索を行い、既知ではあるが、疎水性の高い物質を同定することができた。以上の観点から、現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
腺胃と腸管からは既知の物質しか同定できなかったが、次年度は脳と心臓から新規物質の探索を行う予定である。 加えて、所属研究機関に新たにナノ・キャピラリー・マイクロフロー高耐圧液体クロマトグラフィーシステムが導入されたので、従来法である水抽出液をリファレンスとして新規抽出法による抽出液にのみ含まれる物質の同定を行っていくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、精力的に新規生理活性ペプチドの同定を行い、当初計画していた本年度の使用額を上回る金額を使用したが、前年度分の未使用額が多かったため差額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、さらなる新規生理活性ペプチドの同定を行うため、構造決定や合成、機能解析に本年度以上の費用が必要となることが考えられる。従って、次年度は計画通りに助成金を使用する予定である。
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