軟体動物腹足類アメフラシ、トゲアメフラシ、タツナミガイ(アメフラシ科)とモノアラガイ(有肺類)の消化管神経系(ENS)の消化管運動支配を比較生理学的に調べた。自律運動リズムの起原はいすれの動物でもENS内のペースメーカーを起原とする神経原性だった。ペースメーカーニューロン群はアメフラシでは後砂嚢上に、その他の動物ではそ嚢上にあり、自律運動は先ずその各部域から生じた。このことはアメフラシが大型海藻食で噛み切りながら大量に摂食し、そ嚢が著しく大きいのに対し、他は付着藻類などを切削しつつ摂食し、そ嚢が小さいことと対応した。同等に分布しているENSが食性に適応して異なる機能を果たしていることを示す。
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