本研究は、学習訓練中(記憶が形成されている過程)に脳内でどのようなことが起こっているかを明らかにすることを目的にミツバチ脳のニューロンであるPE1ニューロンの神経活動と記憶の関係を調べた。匂い学習をしながらミツバチのPE1の自発的な活動(自発発火)を記録したところ、PE1の活動度は約5秒周期で増減する振動現象がみつかり、記憶が成立する直前に振動周期が長くなり、PE1の活動が抑えられていることが示唆された。さらに神経間の情報伝達様式を調べたところ、学習によるPE1の神経抑制は、直接的な抑制性入力というよりも他の細胞が抑制されることによる、間接的な神経抑制が支配的かもしれない可能性を見つけた。
|