研究課題
Dmyをもたないメダカ近縁種,および日本産野生メダカ由来の変異体の遺伝解析から以下の結果を得た。1. ルソンメダカの性決定遺伝子であり,かつメダカの性決定遺伝子Dmyの下流に位置するGsdfと性との連鎖関係をメダカ近縁種でサーベイした結果,ベトナム産のモンツキメダカ(Oryzias pectoralis)の性染色体が1番,性決定様式はXX-XY型,性決定遺伝子はGsdfbYであることが判明した。GsdfbYは12番染色体の遺伝子Gsdfの重複コピーであり,それが1番染色体に挿入された結果,1番染色体が性染色体になったと考えられる。2. 京丹後産のDmyをもたない野生メダカXX系統を用いて,性転換原因遺伝子を探索した結果,6番染色体の0Mb近傍にマップされた。この領域には脊椎動物の雄分化に必要なDmrt1が存在することから,本突然変異がDmrt1の過剰発現アレルであることが予想される。今後,定量PCRによる発現解析,および当該Dmrt1アレルの遺伝子破壊によって,本仮説の検証を試みる。3. Dmyをもたない個体が多数検出される平戸産野生メダカを遺伝解析した結果,Gsdfの過剰発現アレルの存在が明らかになった。すなわち,本野生集団には,Dmy(1番染色体)とGsdf(12番染色体)という2種類の性決定遺伝子および性染色体が共存していることになり,性染色体・性決定遺伝子の転換の観点から興味深い。
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