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2014 年度 実施状況報告書

長期にわたり転移能力を維持している「長生き」なトランスポゾンの転移酵素の同定

研究課題

研究課題/領域番号 25440180
研究機関広島大学

研究代表者

彦坂 暁  広島大学, 総合科学研究科, 助教 (30263635)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードトランスポゾン / ツメガエル / 進化 / 転移酵素 / ゲノム
研究実績の概要

一般にトランスポゾンには保存的自然選択が働かないため、同じ宿主内で長い間転移活性を保ち続けるのは難しいとされている。ところが我々はネッタイツメガエルの非自律型トランスポゾンT2-A1, T2-Cが、数千万年もの長期間、転移活性を維持していることを見いだした。この事実は、これらの転移が何らかの形で宿主に有益だったために、純化選択により転移活性が保存されてきたことを示唆している。本研究はこれを検証するために、T2-A1, T2-Cの転移を触媒する転移酵素を同定することを目的とする。T2-A1, T2-Cの転移に働く可能性のあるKol転移酵素にはサブタイプが多数あるため、まずKol転移酵素とトランスポゾンの相互作用を試験管内で効率的にアッセイする方法の構築をめざした。
一昨年度にKol転移酵素の発現系を構築し、昨年度にかけてこの合成転移酵素のトランスポゾン末端配列への結合あるいは切り出し反応のアッセイ系の構築を進めてきた。しかし、バッファの組成等の様々な条件を検討したものの、明白な酵素機能を捉える事ができていない。また大腸菌で発現させたタンパク質の機能を大腸菌内でアッセイする系の構築も試みたが、それも成功していない。この原因として、現在用いている転移酵素-末端配列の組合わせが適切でない可能性を考えた。そこで、より適切な組合わせを検討するために、ゲノム情報が開示されて利用可能になったアフリカツメガエルを参照して、より実験に適切な酵素-末端配列の組合わせを探す方針をとった。ゲノム配列からトランスポゾンおよび転移酵素を探索・分類するパイプラインを作成し、これを用いてアフリカツメガエルのゲノム解析を行ない、ネッタイツメガエルとの比較を行なった。その結果、ツメガエルにおけるKol転移酵素の進化の様相と、アフリカツメガエルとネッタイツメガエルにおけるT2ファミリーの構成の違いを明らかにできた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

転移酵素とトランスポゾンの相互作用アッセイ系の構築のために条件検討を行って来たが、現在まで有効な系が構築できていない。その一方で、当初の計画にはなかったが、酵素と末端配列の組合わせを選択するという、本研究においてキーポイントになるステップについて、バイオインフォマティクスの手法を用いた検討を進めることができた。この解析は、当初の計画からすると回り道にはなっているが、上記の状況をクリアして本研究を進めていく上では必要な作業だったと考えている。
また、上記の解析の副産物として、T2-Cがネッタイツメガエルにおいて興味深い分布を示すことを明らかにし、論文を1報作成することができた。以上のことを総合的に判断して、達成度は「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

上記のバイオインフォマティクス的解析の結果を参照して、アフリカツメガエルにおいて転移活性が保存されていると考えられるT2-MITEサブファミリーを明らかにする。その結果に基づいて、アッセイ系の構築により適切な転移酵素および末端配列の選択を行なう。必要に応じて、ネッタイツメガエルまたはアフリカツメガエルから、これらのクローニングを行なう。これらを用いて新たにアッセイ系の構築を行なう。

次年度使用額が生じた理由

分子生物学的実験からバイオインフォマティクス解析に重点をおいて研究を進めたため、試薬や消耗品等にかかる費用が当初の計画より少なくなった。

次年度使用額の使用計画

バイオインフォマティクス解析をさらに効率よく進めるために必要なコンピュータの購入にあてる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Distribution of the T2-MITE family transposons in the Xenopus (Silurana) tropicalis genome.2015

    • 著者名/発表者名
      Akira Hikosaka, Yoshinobu Uno, Yoichi Matsuda
    • 雑誌名

      Cytogenetic and Genome Research

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1159/000430764

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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