研究実績の概要 |
渦鞭毛藻類の褐虫藻Symbiodinium minutum (クレードB1)のプラスチドゲノムとミトコンドリアゲノムの配列を決定し、その解析結果をオリジナル論文として報告してきた(Mungpakdee et al., 2014; Shoguchi et al., 2015)。 共著者とともに、S. minutumのプラスチドゲノムが14個のミニサークルDNA(1.8-3.3 kbp)からなり、各々のミニサークルに一つの遺伝子がコードされていることを明らかにした(Mungpakdee et al. 2014)。またそのゲノムとトランスクリプトームの比較により、どのようなRNAエディティングを受けているのかを示した。ミニサークルにコードされるタンパク質の3次元構造の予測とアミノ酸組成の解析から、RNAプロセッシングがプラスチドの機能において重要であることをサポートする結果を示した。 渦鞭毛藻類のミトコンドリアゲノムとして初の、非コード領域を含む全ゲノム配列(~326 kb)を報告した(Shoguchi et al., 2015)。比較解析により、褐虫藻とアピコンプレクサ類マラリア原虫との間で多くのノンコーディングRNAsが保存されていることを明らかにした。 これまで、白化しやすいサンゴに共生している褐虫藻は培養できないこともあり、そのオルガネラゲノムにおいても詳細に調べられてきていない。褐虫藻S. minutumの核ゲノム配列は報告してきており (Shoguchi et al., 2013)、本研究により褐虫藻のオルガネラゲノムの研究基盤も整ったことは、今後培養できない褐虫藻のゲノム研究を行う際に参照配列として重要な意義を持ってくると考えられる。
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