今後の研究の推進方策 |
当初の計画では本年度は、引き続き脆弱部位における断裂の形成におけるコンデンシンIIの役割を明らかにするため、(a)コンデンシンII 除去細胞における染色体異常の解析、(b)細胞周期を通じた CFS の動態とコンデンシン II の局在、(c)コンデンシンII あるいはコヒーシンが異常に活性化した細胞を用いた解析、を計画していた。これまでの結果から、コンデンシンIIは脆弱部位だけでなく、分岐型の複製中間体が生じてその修復のため相同組換えがおこる領域で重要である可能性が高くなった。形態的な異常としては分裂期染色体のセントロメアに顕在化しやすいことも示された。そこで、(a)では脆弱部位で働く2つの機構(dissolutionとresolution)に焦点をあて、これらに含まれる因子(BLMヘリケース, FD2, SXL4, MUS81, GEN1などのヌクレアーゼ)とコンデンシンIIとの関係を、各因子のsiRNAノックダウンを組み合わせて、局在と染色体形態異常のから明らかにすることを目指す。(b)では、分裂後の核内の染色体特にセントロメアの配置、そして次の分裂期までの形態的変化を細胞生物学的に解析し、相同組換えによる修復に失敗した細胞がどのような運命を辿るのかを明らかにしたい。また、S期からコンデンシンIIはクロマチンと結合するが、詳しい領域は未だに不明である。そこでコンデンシンIIの核内における局在も詳細に解析する予定である。(c)では申請書どおり、コヒーシンやコンデンシンIIの活性を量的、質的に変化させるような因子が、これまでに観察された染色体形態異常にどのように影響するのかを解析する。
|