種の障壁を越えた水平転移による新規遺伝子の獲得は、遺伝情報の進化において重要な役割を担う。昆虫類の全ゲノムの塩基配列情報から、水平転移により細菌から獲得した遺伝子を同定し、昆虫がこれらの転移遺伝子群をどのように獲得したか。そして、それらの転移遺伝子が、どのような制約を受けて進化しているかを解明することを目指して研究を行った。細菌由来の転移遺伝子を持つ可能性が高いと考えられる、必須共生生物を内部共生させている生物種やその近縁種を対象として、水平転移遺伝子の検索を進めた。合計9種について解析を行い、数の違いはあれ、いずれの昆虫種からも、細菌由来の転移遺伝子の候補となるゲノム領域の同定に成功した。
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