研究課題
基盤研究(C)
平成25年度にはデータベースを用い、申請者が所属する北海道大学に収蔵される魚類標本からタラ目、マトウダイ目、アンコウ目およびフグ目の標本リストを作成した。このリストを元に観察に用いる標本を決定し、比較解剖には7科20属22種のタラ目魚類、6科10属13種のマトウダイ目魚類、14科28属15種のアンコウ目魚類、および9科11属11種のフグ目魚類を用いることとした。これらのうち、平成25年度にはタラ目15種とアンコウ目10種の骨格系と頬部筋肉系の比較解剖並びに観察を行い、さらにタラ目から8種のレントゲン写真を撮影し、部分的な骨格系の観察を行った。本研究で観察したタラ目とアンコウ目の形態形質を文献情報と比較した結果、両目は14個の派生形質で共通していることが判明した。これらの派生形質うち、舌顎骨上部の関節顆が単一であることと、尾鰭椎前第2椎体の神経棘は長く完全であることは、従来両目が含められてきた側棘鰭上目と棘鰭上目では非常に希な特徴である。したがって、タラ目とアンコウ目の近縁性は形態学的にも支持されうることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成25度は15種のタラ目と10種のマトウダイ目の比較解剖が終了した。当初の予定では本年度には両目の約7割程度の比較解剖を目標としていた。さらに、文献情報との比較により、両目に共通する14個のの派生形質を見いだすことができ、両目の近縁性を支持することができた。したがって、本研究はほぼ順調に進行し、本年度の当初の目標を達成することができたと考えている。
まだ解剖を行っていない7種のタラ目魚類と3種のマトウダイ目魚類の解剖・観察を行い、さらにアンコウ目とフグ目の比較解剖に着手する。さらに、現在では得られた形態学的データを文献情報と比較することにとどまっているが、研究対象の4目を含む側棘鰭上目と棘鰭上目などの多くの魚類を包括する分類群である正真骨下区の比較解剖も行い、形態学的データを収集することで、より精度の高い比較を行い、形質の極性決定(当該群の形質が派生的であるか原始的であるかを決定すること)を行っていく予定である。さらに、系統解析ソフトを用い、より客観的に系統関係を提示することも検討している。
年度末に、講義等の次年度の準備に予想よりやや時間がかかり、予定していた物品(消耗品)購入が遅れることとなった。そのため、わずかだが次年度使用額が発生した。生じた次年度使用額だけ2014年度の消耗品購入費を増額することを予定している。なお、生じた次年度使用額はわずかであるため、2014年度に問題なく使用できると考えている。
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