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2014 年度 実施状況報告書

多回型同調的雌雄異熟性に注目した杯状花序の機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25440200
研究機関福島大学

研究代表者

黒沢 高秀  福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (80292449)

研究分担者 兼子 伸吾  福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (30635983)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード雌雄異熟 / 植物の性表現 / 自家不和合性 / 杯状花序
研究実績の概要

開花習性や性表現の観察,および他殖率の算出については,以下の実績を挙げた。(1)アマミナツトウダイなどトウダイグサ亜属6種類の性表現の日変化を観察した。(2)ホルトソウとトウダイグサはいずれも雌雄同熟であるが,同じ次数の杯状花序が同調の有無など,異なった様相を示した。(2)簡易的な方法でマツバトウダイなどトウダイグサ亜属6種類およびポインセチアなど外群4種類の性表現の観察を行った。(3)その結果,多回型同調的雌雄異熟は少なくとも4節にみられ,トウダイグサ亜属に広く分布していること,雌雄異熟はトウダイグサ亜属の系統進化の過程で何度か失われたまたは並行進化・再獲得されたことがわかった。(4)アマミナツトウダイ,ホルトソウ,トウダイグサ,E. myrsinitesの交配実験により,アマミナツトウダイ,ホルトソウ,トウダイグサが自家和合であることがわかった。多回型同調的雌雄異熟を示すナツトウダイ類の中で,自家和合と自家不和合の系統があることがわかった。
マイクロサテライトマーカーの開発については,設計した50プライマーペアのマイクロサテライトマーカーとしての有効性を確認した。データベースに登録されているE. esulaの配列に基づき,マイクロサテライト領域を含むプライマーを設計し,マルミノウルシ,ノウルシ,トウダイグサについて,PCR増幅およびピークパターン,多型の有無等を分析した。その結果マルミノウルシで3遺伝子座,ノウルシで5遺伝子座,トウダイグサで4遺伝子座について,良好にPCR増幅し,明瞭なピークが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

開花時期に調査時間を確保でき,詳細な方法での杯状花序の開花習性と性表現を予定より多く観察できた。簡易的な方法での杯状花序の開花習性と性表現の観察とあわせて,計画どおり23分類群を観察することができ,平成25年度にやや遅れていたところを挽回できた。特に,詳細な方法での開花習性の観察に関して予定より大幅に多くの種類を観察したことにより,精度の高いデータが予定より多く得られた。また,栽培株の確保が遅れたこともあり,他殖率の算出も計画どおりこれまでに6分類群で行うことができ,平成25年度にやや遅れていたところを挽回できた。

今後の研究の推進方策

これまでの研究で,詳細な方法での杯状花序の開花習性と性表現の観察は,同じ雌雄同熟でも同じ次数の杯状花序の同調などに多様性があることがわかるなど,簡易な方法に較べて多回型同調的雌雄異熟の進化の研究に有効であることがわかった。そのため,詳細な方法での杯状花序の開花習性と性表現の観察に関して,既に予定より大幅に多い9分類群について結果を得ているが,さらに多くの種類の観察をしていく。
開花習性と性表現の観察や系統解析は,なるべく広い範囲の分類群を対象にすることをこれまで心がけてきた。しかし,今後は,開花習性や自家和合性に多様性が見られる系統(ノウルシ-タカトウダイクレード,ナツトウダイ類,ハクサンタイゲキ類)を集中的に観察・解析したい。それにより,近縁種間での開花習性や性表現の進化を明らかにしたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

国立科学博物館客員研究員に就任したため,国立科学博物館筑波実験植物園への出張旅費の支出が不要になったため。

次年度使用額の使用計画

学会発表の旅費や論文作成・発表のための英文校閲や別刷り代が研究計画に含まれていなかったので,これらに使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 毎日観察するとわかることがある~トウダイグサ属における杯状花序のタイミングの妙と多回型同調的雌雄異熟性の分布2015

    • 著者名/発表者名
      黒沢高秀・山下由美・兼子伸吾
    • 学会等名
      日本植物分類学会第14回大会
    • 発表場所
      福島大学,福島
    • 年月日
      2015-03-06 – 2015-03-06

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公開日: 2016-05-27  

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