著しい種内倍数性を示すオミナエシ科オトコエシについて、細胞学的、系統地理学的解析を行った。日本および韓国で収集した試料を解析した結果、2倍体 (2n=22)から12倍体 (2n=132) まで連続した倍数体系列が認められ、遺伝的には 1) 九州西部から韓国に分布する系統 (2n=22)、2) 北海道から滋賀県まで分布する東日本系統 (2n=44)、3) 近畿地方から九州まで分布する西日本系統 (2n=66~132) の大きく3つのグループに分けられることが明らかになった。また、オトコエシとオミナエシの雑種とされてきた「オトコオミナエシ」は、オトコエシの種内倍数体間の交雑に由来すると考えられた。
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