研究課題/領域番号 |
25440206
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北村 淳一 三重大学, 生物資源学研究科, リサーチフェロー (00432360)
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研究分担者 |
小北 智之 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60372835)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 適応進化 / 繁殖形質 / 遺伝基盤 / 行動生態 / 生態ゲノミクス / 淡水魚類 / 繁殖寄生 |
研究実績の概要 |
タビラ類亜種間における卵形質の適応的分化の進化遺伝基盤を明らかにするために、本年度は以下の研究を行った。 (1)アカヒレタビラ(短楕円形卵産出亜種)とキタノアカヒレタビラ(長楕円形卵産出亜種)のF2交雑家系を用いた卵形質変異の遺伝性の解析:F2世代における雌の卵形は両親亜種の表現型値を両端に連続的に分離し、その遺伝支配を確認した。また、卵形質と体サイズには有意な相関は認められず、野外における既報の解析結果を支持した。また、卵形と体サイズで補正した産卵管長には有意な相関はなく、両繁殖形質間の遺伝相関は認められなかった。したがって、雌の繁殖成功に大きく影響する2つの適応形質の亜種間分化は異なった進化遺伝基盤によって達成されていることが示唆された。これらのF2世代の表現型データを用いて、最終年度の平成27年度にQTL解析(ジェノタイピングには次世代シーケンサーを用いたRAD-seqを使用)を実施し、卵形質変異の原因遺伝子座を同定する予定である (2)卵形質変異の発現パターンの解析:卵形の亜種間変異の卵巣内における発現時期を検討するために、4亜種(短楕円形卵産出亜種を2種、長楕円形卵産出亜種を2種)・合計78個体の卵巣組織切片の観察し、同時に卵巣内卵形の変化パターンを精査した。その結果、長楕円形卵を産出する亜種において、卵形が1.6mm程度(卵母細胞の発育段階は核移動期)から急激に変化し始めることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
QTL解析用の家系の作出も終了し、F2世代の表現型データも順調に取得できているため。また、形質変異の発現時期の特定にも成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展しているため、最終年度である平成27年度は予定通りQTL解析を実施し、卵形変異の原因遺伝子座を特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
この費用はQTL解析のためのジェノタイピングに使用する予定であったが(解析には次世代シーケンサーを使用)、QTL解析に用いる充分数のF2世代の表現型解析が平成26年度末までかかったこと、解析の精度を高めるために、平成27年度初めにも個体数を追加する予定であったことから、次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
QTL解析用のF2世代におけるRAD-seqを用いたジェノタイピングに関わる分子実験に使用する。具体的には、Rad-ライブラリーの作成と、作成したライブラリーを次世代シークエンス(Hiseq2000)するための外注費である。
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