研究課題/領域番号 |
25440208
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
戸部 博 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (60089604)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | モチノキ目 / フィロノマ科 / ハナイカダ科 / 花 / 種子 / 発生学 / 生殖器官 / 形質進化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、蓄積するゲノム情報によって構築された真正双子葉植物モチノキ目の花と雌雄生殖器官の形態、構造、発生形質の研究をさらに深め、その進化の全容を明らかにすることである。そのため、モチノキ目5科(フィロノマ科、ハナイカダ科、モチノキ科、ステモヌルス科、ヤマイモモドキ科)について、いろいろな発生段階にある花と果実(葯・胚珠・種子)を採集し、電子顕微鏡と樹脂切片の光学顕微鏡観察を行う。本年度は、採集の終わっていないハナイカダ科、モチノキ科、ステモヌルス科、ヤマイモモドキ科4科の材料の採集とともに、ハナイカダ科とフィロノマ科の葯、胚珠、種子の発生全般の観察をまとめて公表した。主な成果を以下の通りである。 フィロノマ科の葉状花序のが「さそり型」集散花序であることを論文として発表。 ハナイカダ科の花には1輪の花被しかない。しかし5花被片の花では花被片の配列が姉妹群フィロノマ科のがく片のそれと一致することから、ハナイカダ科の1輪の花被は花冠ではなく「がく」である、更に、送粉について両媒であること等を論文として発表。 フィロノマ科の葯・胚珠・種子の発生過程に見られる形態的特徴をまとめて論文として投稿し、掲載が確定した。これらの成果により、モチノキ目の中のフィロノマ科とハナイカダ科のクレードの雌雄生殖器官の形態、構造、発生形質の研究が全て終り、それぞれの科の固有派生形質と共有派生形質が全容が明らかになった。 モチノキ目の比較情報として、同じ真正双子葉植物に属するムクロジ目ビーベルステイニア科の雌雄生殖器官の形態、構造、発生形質の研究結果と、アブラナ目エンブリンギア科の花の形態と構造に関する研究成果を論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に向かって、計画はおおむね順調に進展している。しかし、研究の手法は葯、胚珠、種子の発生を克明に追跡することを必要としている。対象とする植物のサンプリングが年に一度のチャンスしかないことが前年同様、研究の進展をやや難しくしている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の目的と計画に大きな変更は必要ないが、前年同様、モチノキ科、ステモヌルス科、ヤマイモモドキ科(ヤマイモモド属以外)の研究材料採集をさらに進める必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はデータを取ることより、データをまとめて論文にすることに時間を多く取ったため、データ収集のための薬品等購入のための物品費と人件費・謝金に残高が出てしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度に当たりデータ収集に残高費用を積極的にあてることと、今後発表する論文の1部のについて、Open Accessを考えており、そのためにかかる費用(約30万円)にあてたい。
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