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2014 年度 実施状況報告書

生物学的種を指標とした菌類の分類体系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 25440218
研究機関玉川大学

研究代表者

渡辺 京子  玉川大学, 農学部, 教授 (70276682)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード子嚢菌類 / 系統分類 / 生物学的種 / MAT遺伝子
研究実績の概要

Pestalotiopsis属は2014年にMaharachchikumbura らによって、Pestalotiopsis属、Neopestalotiopsis属、Pseudopestalotiopsis属の3属に分けられた。これらの属はITS領域、BT領域、EF領域のコンバインデータを基にした系統樹のクレードに相応するものである。このとき、それぞれの属の形態的特徴も明記された。しかし、この分類は既報の研究結果を踏襲しているに過ぎず、本菌群の分子系統と形態を用いた分類についての問題は解決されなかった。むしろ各属の形態的特徴が互いに入れ子状になっており、より問題を複雑にしている。
本研究は菌類の生物学的な分類を行うことを目的として、これら3属ならびに近縁なSeiridium属の4属13菌株の次世代シーケンスのデータを得た。その結果、子嚢菌類のMAT遺伝子のHMG-domein増幅用として一般的に使用されるNcHMG1、NcHMG2プライマーでは、本属のHMG-domeinが増幅されるものの、MAT1-2遺伝子のそれではないことがわかった。また、本菌群13種の完全長MAT遺伝子の推定アミノ酸配列を比較すると、Pestalotiopsis属の菌株と他属の菌株では明らかに異なる配列をもつことがわかった。一方、MAT1-1のα-domainはいずれの菌株からも見出すことができなかった。本菌群のテレオモルフがほとんど発見されない理由がここにあるものと予測している。
本研究では従来の方法(ITS領域+BT領域+EF領域の分子系統解析)による分類を基にして供試菌株を選抜している。本年度は、3種のみで構成され、その形態的特徴付けが難しいとされているPesudopestalotiopsis属の新種やエピタイプとなる菌株を複数得た。このことで本菌群の属間の比較がより明確にできると期待している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

菌株によって多糖を多量に産生したため、質の高い次世代シーケンス解析用としてDNA精製法の検討から行わざるを得なかった。また、今まで子嚢菌類のMAT遺伝子のユニバーサルプライマーを用いて得た配列を本菌のMAT遺伝子のHMG-domainとして研究を進めていたが、本年度の次世代シーケンスの結果から、増幅されていたHMG-domainは他の遺伝子由来のものであることがわかり、解析をはじめからやりの直すことになった。一方、本年は種数の少ない属のタイプとなる菌株を複数見出したため、本研究に貴重な供試菌株を加えることができた。
本年度までにMAT遺伝子に関する基本データならびに貴重な菌株を得るなど、思考錯誤の部分が解決できた。27年度に順次データを出すための準備が整ったといえる。

今後の研究の推進方策

現在までの結果から、MAT遺伝子は種の分類には使用できると予想している。
しかし、属間の分類にはMAT遺伝子の塩基配列はもとよりアミノ酸配列を使用したとしても、これが系統解析に適するかどうかは未知である。そのため、今後はアンプリコンシーケンスによってデータを蓄積し検討する。このデータは少なくとも種の分類に使用する。
一方、属間の分類にMAT遺伝子が有効でないことが懸念されるため、今後は次世代シーケンスの全ゲノム配列の比較も同時に行う。

次年度使用額が生じた理由

26年度に、MAT遺伝子の指標が間違えていることが明らかになった。そのため、PCRなどの実験を一時実験を中止して、解析に時間をかけ、研究協力者との打ち合わせに時間を使った。
これに起因してアルバイト(人件費)や消耗品や委託のための費用の一部を27年度に繰り越した。

次年度使用額の使用計画

アンプリコンシーケンスにより一度にデータを得ようと計画している。そのために、委託に予算を使用する予定である。また、既に得られている結果については、論文投稿の準備を進めており英文校閲代などにも使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Pseudopestalotiopsis属菌の新種とエピタイプの提案2015

    • 著者名/発表者名
      野澤俊介・リー ティ ホアン イェン・安藤勝彦・ズオン バン ホップ・渡辺京子
    • 学会等名
      日本菌学会第59回大会
    • 発表場所
      てんぶす那覇(沖縄県)
    • 年月日
      2015-05-16

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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