研究概要 |
カイコ腹脚の形成過程における遺伝子発現を観察するため、発生ステージを追ってUbx, abd-AおよびAbd-B の発現パターンの変化を、付属肢原基が出現する前後のステージの胚を材料として特異抗体による免疫組織化学法により調査した。また、EKp, ENc 等の腹脚が異所的に形成される突然変異体を用い、これらについて上記と同様の手法でUbx, abd-A, Abd-B 各遺伝子の発現解析を行った。その結果Ubxタンパク質とAbd-Aタンパク質は排他的に発現する事、腹脚原基領域でAbd-Aタンパク質が強く発現すること、腹部第2体節に過剰腹脚を発現するミュータントではこの体節にAbd-Aタンパク質が強く発現する領域が現れることが明らかとなった。 カイコ腹脚形成に関する遺伝子の機能解析を行うため上記の遺伝子群について単独のRNAi に加え、Ubxとabd-Aの2種同時注射によるdouble knockdownを行った。その結果すべての腹部体節に脚様の構造が現れた。第1~第6体節には胸脚様の構造物、それ以降の体節は胸脚と腹脚の中間的な性格の様々な構造が形成された。また、この処理によってAbd-Bの発現は影響を受けなかった。 さらにこれらホメオティック遺伝子の機能解析のためにUAS の制御下にUbx, abd-A, Abd-Aを発現する遺伝子組換えカイコの作製を行った。 カブラハバチではこれまでに行ったRNASeq のデータを元にAntp, Ubx, abd-Aの遺伝子配列取得しをクローン化した。その後in situ ハイブリダイゼーションにより、個々の遺伝子の発現パターンを発生ステージを追って明らかにした。
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