カイコ腹脚の形成過程におけるDistal-less(Dll)の関与を検討するため、TALENを利用したゲノム編集実験を行うことにより、Dllのノックアウトを試みた。その結果、注射当代においてRNAi実験の時と同様の表現型、すなわち顎部付属肢や胸脚には形成不全を起こすが腹脚は正常に形成される個体が多数観察され、Dllが腹脚形成へ関与していないことが示唆された。比較的表現型の弱いモザイク個体を用いて、Dllノックアウト系統の樹立を試みたが、交尾産卵する個体が得られず系統の樹立には失敗した。 発生ステージ18~19の胚を用いて、付属肢として胸脚の発生する胸部、付属肢の発生しない腹部第一第二体節、腹脚の発生する腹部第三~第六体節を切り分けて、それぞれからRNAを抽出してRNA-Seqを行った結果、3つの領域での発現パターンが特異的な遺伝子群が見つかった。
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